映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

トム・フーパー監督「レ・ミゼラブル」169本目

2012年公開作品。

帰省したときに、時間が空いたので街中の映画館のレイトショーで見ました。
この町の映画館は1館だけになってしまって、あとは郊外のショッピングモール2か所に大きなシネコンがある。DVDレンタルの店には膨大な量のソフト・・・でもよく見たら、TVドラマのDVDばっかりだった。

さて感想です。とても良い映画でした。
原作読んでないしミュージカルも見てないので、今回が初めてです。
ものすごい大河小説なんでしょうね。158分もあるけど、ジャン・バルジャンのパン窃盗事件にも、牢獄での生活や度重なる脱獄にも触れる余裕はなし。「ダイジェスト」感があります。
役者さんたちの自然で真摯な演技、心から絞り出すような歌、とても素晴らしくて感動するんだけど、歌舞伎の名場面集のような感じはあります。

ヒュー・ジャックマンアン・ハサウェイラッセル・クロウアマンダ・セイフライド、みんな輝くような演技です。映画のなかでいちばん“いやしい”役、テナルディエ夫妻を演じてるサシャ・バロン・コーエンヘレナ・ボナム・カーターがめちゃくちゃ高貴な名前なのが、ギャグみたいだ!

全編を歌で構成したことは、不自然な印象はなかったけど、「名場面集」のような印象は少し強まったかもしれない。でも、ジャン・バルジャンが囚人姿で、市長のかっこうで、重い柱を持ち上げるシーン・・・ファンティーヌの「夢やぶれて」・・・コゼットとマリウスの出会い・・・そういう絵のような場面をまた見たいなぁと、思い出してしまいます。見足りない感じもあるのかもしれません。一度は見ることをお勧めしたいです。以上。