映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロネ・シェルフィグ監督「17歳の肖像」355本目

デンマーク人監督がイギリスで撮った映画だけど、グローバル化を受けて(適当)日本の女子高生でも楽しめそうな映画に仕上がっています。

女子高の優等生が、ちょっと怪しげな大人の男に声をかけられて、親にも話を通した上でおつきあいを始めるんだけど、親のほうも一緒になんだか丸め込まれてしまって…。というストーリー。どっかのタイミングですべてが白日のもとに晒されて、彼女も巻き込まれて困った事態に陥るんだろう、ということはかなり早い段階でわかるのですが、“そうきたかー。”という結末でした。ネタバレっぽくなってしまうかもしれないけど、「もう頬づえはつかない」的な帰結で、賢いこの女の子の成長がとても良いです。生きて行けないほどの恥をかいてしまって、自分から親に話せないくらいプライドがずたずたになったけど、恥を忍んでまた自力ではいあがる。こういうパワーをたいがいの女性は秘めてるんじゃないか…と思います。絶対的に強い人も、絶対的に弱い人もいないんだから、自分のなかの弱さより強さに目を向けて生きて行きなさい、成長ってこういうことを言うのよ!…と言われたような気がします。

彼女は、大きな失敗のことを誰にも言わずに大学に入る。でも、彼女がその分強くなったことは確かです。いい映画でした。うん。