映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ルパート・グールド 監督「ジュディ 虹の彼方に」2684本目

小さい頃大好きだった「オズの魔法使い(私のはシェリーが出る、ホンダがスポンサーだったやつね)」のジュディ・ガーランド版を見直したとき、彼女の壮絶な薬物中毒のことも知りました。この映画では、晩年の彼女にはダメなこともあったけど、素直で可愛い人に描かれていましたね。レネ・ゼルウィガーの自然な人間味あふれる歌声のすばらしさにびっくり。歌手でいけるんじゃないか、という気もするけど、ジュディが降臨してるときだけなのかな?

噂レベルでは、ジュディがバイセクシュアルだったとか、少女の頃に映画関係者に凌辱されていたという話もあるけど定かではありません。でも、LGBT解放のシンボルとして長年「虹の彼方に」が使われていて、そこから虹そのものがモチーフとしてよく使われているのは事実。私は、「オズの魔法使い」にはさまざまな姿かたちの人たちがワイワイ出てきてみんなで仲良く暮らしていたのがけっこう衝撃だったので、そこから来てるんじゃないかなと思ってます。この映画で、おそるおそる彼女に声をかけてくる初老のゲイのカップルがいい味を出していて、オムレツ作りに失敗するエピソードはほほえましいし、同性愛で投獄された過去には胸が痛みます。舞台上で歌えなくなった彼女に向かってアカペラで彼らが歌いだす「虹の彼方に」が実に泣ける場面なんだけど、そういう背景がそこにはあるんですよね。

 

彼女やほかの早逝したスターたちを追い込んだのは、毒親なのかエンタメ業界なのか、彼女の舞台にヤジを飛ばす観客はどうなのか。彼女の名前を関した映画館を画策することは?もっと言うと、彼女を愛して長年ステージに通い続けるファンの期待もそうかもしれない。私たちはただ愛するだけじゃなくて、もっともっとって要求してしまうから…。

卓越した魅力をふりまいて、エネルギーを与えてくれるスターっていう人たちの美しさと苦悩に改めて思いをはせてしまうのでした。。。

ジュディ 虹の彼方に(字幕版)

ジュディ 虹の彼方に(字幕版)

  • 発売日: 2020/09/02
  • メディア: Prime Video