映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョージ・スティーヴンス 監督「陽のあたる場所」969本目

ハリウッド白熱教室」の撮影術の回で取り上げていて、見たくなりました。
そのときは、カメラワークばかり気になってしまったけど、通しで見るとさらりと流してしまうなぁ。

主役のモンゴメリー・クリフト(いままでこの俳優さん知らなかった)って、すこしハスに構えていて、それほどすごくいい男って感じでもないけど、超美女のエリザベス・テイラー演じるお嬢様が一目惚れ。
彼が軽い気持ちでひっかけて遊んでた素朴な女の子を棄てるしかない、という状況に。
この素朴な女の子、なんかすごく見たことあるなと思ったら、つい先日見た「狩人の夜」で純朴な妻を演じてた人だ。シェリー・ウィンタース っていうんですね。さらに、その前から見たことがあると思って遡ってみたら、「ロリータ」でロリータの母を演じていました。いつもこの人は、純朴で信じやすい、ちょっと可愛い田舎の女の子とかを演じるパターンなのですね。。

エンディングまで見たあとで改めてタイトルを見ると、主人公が最後まで夢見たお嬢様のキスの陽だまりのような暖かさが、彼にとっての”陽のあたる場所”だったんだろうなと思います。平凡でぱっとしない一生を送っているだれであっても、一瞬だけ、そういう陽だまりを夢見るときがある。そのことを誰が責められるだろう?…そんな気持ちになりました。