映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フランシス・フォード・コッポラ監督「カンバーセーション 盗聴」1361本目

1973年、コッポラの監督デビュー作、でしたっけ。
冒頭の場面がすごくいいですね。
普通の男女が話をしながら、人通りの多い街中を、ぐるぐる歩き回っている。
銃か?と思うとそうではなく、彼らをあちこちから狙っているのはマイクだ。彼らの声は、通信状態が悪いデジタル電話みたいに、途中聞こえづらくなったり、宇宙人のような声になったりしている。映像が普通のアナログ映像なのに、音がそういう状態になっているのが、違和感がある。この場面だけで、盗聴をするコール(ジーン・ハックマン)の身の上や状況が伝わってくる。

でも、この後はコールの神経質さが際立って、徐々に現実でないものが見えるようになり、若いとんがった監督の作品、っぽくなっていくんだなぁ。この緊張感に、惹かれるものもあるけど。