映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

安藤尋 監督「海を感じる時」1521本目

原作は1978年の出版。大昔に読んだと思ったけど、本当に映画の36年も前の作品だ。
思いのほか力作でした。しかしこんなお話だっけ・・・。
”私の中には海がある”みたいな書き出しじゃなかったっけ。
「DJあおい」にぶった斬らせたら、ひとたまりもないようなストーリーだ。
男に遊ばれてしまう人も、自傷癖のある人も、小さい頃に厳しく支配されて育ってしまって、誰からもいじめられない状態に不慣れ、だったりするんだろうか。痛々しい、という一言でかんたんに済ませられないなぁ・・・。

しかし池松壮亮って俳優は、若さいっぱいなのにこういう後ろ暗い役がうまいなぁ。市川由衣も、傷つけられる女の繊細さが美しい。

人を愛するってどういうことなのか、本当はかんたんにはわからないよね、
男は思われて思われてやがて愛情を育んできたけど、女は、自分を愛するようになった男に初めて反発する。
最後の眼差しが強くて素敵でした。

海を感じる時 [DVD]

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