映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

カビール・カーン監督「バジュランギおじさんと、小さな迷子」2500本目

2500本目という区切りに満を持して登場したのは、インドが誇る三大カーンの最後の一人、サルマン・カーンだ!シャー・ルク・カーンは「恋する輪廻」、アーミル・カーンは「きっとうまくいく」等で何度も見たけど、なぜかサルマン・カーンの映画は見る機会がありませんでした。最後のカーンはでかいなぁ。プロレス選手みたい。映画スターとしてはシルベスター・スタローンとかアーノルド・シュワルツェネッガーみたいな、インドのアクション大スターだそうです。しかもイケメンでなかなかの迫力ですが、学校を10回落第したおバカという役。表情に愛嬌があって、そういう親しみやすさも十分醸し出してますね。

彼と恋仲になるラシカを演じたカリーナ・カプールは、目と目が近いこの顔、ものすごく美しい瞳、見たことあるなーと思ったら「きっとうまくいく」の女医さんですね。

マハトマ・ガンジーすら実現できなかった、イスラム教とヒンドゥ教が完全に平等になる世界… 最後の国境に膨大な数の人たちが集まる場面、すごい壮観でしたね。パキスタンの人々の善意をインド映画で描く勇気。デヴィッド・ボウイがベルリンの壁の前で歌った「ヒーローズ」みたいだわ。

そして、公式サイトにはからずも見る前から明記されていた、お嬢ちゃんの最後の一声。クララが立った!…違いますね、でもこんなスイスアルプスみたいな美しい雪山がインドとパキスタンの国境にあるとは知らなかったです。地図上の国境が点線で描かれているこういった領域って、危険で怖いイメージがあったけど、インドに旅行したときカシミール地方から遠足で来てる子どもたちがいて、ひときわ純情で可愛かったんだよな。今も映画に取り上げられることなく泣いてる人たちがいるんだろうなと思います。

改めて「きっとうまくいく」ほか、アーミル・カーンの出演作のことを考えてみると、彼はインドではマジョリティではないムスリムだから、映画に宗教色がないし、海外で受けいれられやすい作品を作り続けてるのかも。

みんな、ただ能天気に歌って踊ってるわけじゃないんだよなぁ。日本は国内に国境がないだけでも、平和のありがたみをもっと感じたほうがいいのかもね。

バジュランギおじさんと、小さな迷子 [DVD]

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  • 発売日: 2019/08/02
  • メディア: DVD