映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

本多猪四郎監督「ガス人間第1号」2501本目

まぁ私もジャンル問わずなんでも見る方ですよね。

この映画はタイトルだけ見ると、おどろおどろしい、今見るとちゃちい特撮とか使ったパニック怪獣映画かなと思うじゃないですか。でも冒頭は、きょとんとした顔で立ち上がった銀行員の面々をなめるカメラ。ずっと鳴っている小鼓の音は何かと思ったら、実際に能舞台で舞が始まります。よく見ると原作があります。ジョン・メレディス・ルーカス、外国ものですって(※ただしクレジットなしだそうです)。ちなみにWikipediaによると、この映画は”東洋的な要素が受け、アメリカで大ヒット”したんですって。

お人形みたいに美しい八千草薫(最初多岐川裕美かと思った。若いころはふっくらしてたのね)、日本舞踊を舞っていると本当に幽玄です。この人がお姫様の面のモデルだったのかなというくらい。

ガス人間を演じた土屋嘉男って、癖のある悪役ができそうないい顔です。刑事役の三橋達也、その恋人で記者の佐多契子も生き生きしていていいです。ガス人間と人間の姿を行き来する状況も、蛍光色のけむりのもやもやっとした感じ、よくできてるなぁ。すごいタイトルだけど意外な面白さでした。 

ガス人間第1号

ガス人間第1号

  • 発売日: 2014/07/01
  • メディア: Prime Video