映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スーザン・ダイナー監督「PUNK’s NOT dEAD」2767本目

この映画は、以前パンクがどれほど青少年の肉体や精神をむしばむと考えられていたか、という「専門家」のコメントなんかも収録されていて、今となっては微笑ましいです。私もパンクやってるから不良と呼ばれたクチでしたが、今はよい子たちがタオル首に巻いてみんな野外フェスでぴょんぴょん飛び跳ねてますからね。まったく同じような音楽なのに。何もかも最初は尖って見えるものだ。

グリーンデイ、ランシド、オフスプリング、バッドレリジョン、NOFX、この辺りまではギリギリわかる。当時、彼らの音楽を教えてくれたパンクス の友達は、昨年亡くなってしまった。もう、前世というより2回生まれ変わる前の話みたいにはるか遠く感じます。

でもそれらのバンドのメンバーもすっかりいいおじさんになってる。多分若いパンクスからは「レジェンド」とか呼ばれてるんだろうな。

このドキュメンタリーは特定のバンドやアーティストだけを取り上げたものではなくて、何十人ものアーティストたちのインタビューを集めたものなので、音楽映画というより社会現象をとりあげた作品という趣があります。当時はパンクスは弱い者いじめに反抗するやつらで、ちょっとバカだけど(※高学歴の人も多い)真っ正直で生きるのが下手な若者たちだと思ってたけど、今見た目だけで判断すると、頭悪い乱暴者、移民をいじめる人たちの仲間にも見えるな…。今はどうなんだろう。実はいい奴ら、であってほしいです。

思い出した。xx公会堂でライブをやったあと、知らない人がTシャツにサインをしてくれと言ってきたのでどうしようかと思って、Punk's not deadだかRock'n'Roll could never dieだか書いたことがあった。(後にも先にもそんなの1回だけ)今となってはいい冥途の土産になりそうな思い出だなぁ…。

PUNK’S NOT DEAD SPECIAL BOX [DVD]

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  • 発売日: 2008/01/23
  • メディア: DVD