映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ルビカ・シャー監督「白い暴動」3260本目

2019年制作。そんな新しい映画だったんだ。クラッシュの「白い暴動」が出たのは1977年、ジョー・ストラマーが亡くなったのが2002年だから、ごく最近になって昔を振り返って作られた作品だったんだな。(字幕監修ピーター・バラカン。正しい人選)

RAR: Rock Against Racism、1976年に発足したのか。ロンドン・パンク台頭と同時期だ。イギリスは好きな国なので、人種差別についてもアメリカよりはドイツよりはまし、と思いたがってたんだけど、私は自分が好きなパンクスのこととかしか知らないから、強い対立勢力が存在してたのを知らなかったのは偏狭な小娘としては(海外の政治記事じゃなく音楽雑誌だけ読んでたから)当然だったのかもな。

エイリアン・カルチャーっていうパキスタン系の子たちのバンドは知らなかった。日本で人気が出ると思わず、あまり紹介されなかったのかもしれない。トム・ロビンソン、Xレイ・スペックス、シャム69も馴染みだ。当時の日本のパンクロックの歌詞は、労働がきついとか警察に目をつけられてるってのはあったけど、それほど深刻じゃなかった。日本にも深刻な問題があったと思うけど、若い子たちのロックと直結してなかったのかな。今の日本で、近隣諸国にルーツを持つ人たちに対する差別に対抗するロックフェスができるだろうか。もしあったら行ってみたいけどちょっと怖いな、装甲車に取り囲まれていそうで。そう考えると、自分が正しいと思うことのために戦うっていう気概が自分にはないことに気づく。この先もずっと、こんな意気地なしのままなのかな、自分は…

ちょっと考え込んでしまうのでした。

白い暴動 (字幕版)

白い暴動 (字幕版)

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