映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

エドワード・ノートン監督「マザーレス・ブルックリン」2820本目

エドワード・ノートンが自分で脚本を書き監督し、主演も務めた作品。”チック症”の演技がすごく自然で、さすが演技派。めちゃくちゃ記憶力も推理力も行動力もあるのに、突然、連想した言葉を叫ぶ癖を止められないので、オールマイティの探偵にはなれない。本気で止めようとしているのに言ってしまう「イフ!」とか、この演技が自然にできる人ってそう多くはないんじゃないかあな?

この映画のキャスティング…オヤジ的なブルース・ウィリス、悪徳業者のアレック・ボールドウィン、世をすねたウィレム・デフォー、知的なググ・バサ=ロー(「女神の見えざる手」に出てたのね)、…ノートンのファイバリット俳優(あるいは友人・仲間?)なのかな。

そういう、強い確立された個性をすでに持っている俳優たちの存在だけでも、この映画は見ごたえがあるし、ブルックリンの裏町の風景もスリリングな構成も魅力だけど、謎がわりと文字ベースで(書類のズームとか)語られたりするので、意外と「なるほど!」とまでは思えなかったです。最後にすべてが明らかになったのも、映像より台詞で語られる。ノートンは言葉を大事にする映画人なのかもな。

ノートンの演技がうますぎてそればっかり語りたくなってしまうので、次は自分が出演しない映画も作ってほしいなぁ。

マザーレス・ブルックリン(字幕版)

マザーレス・ブルックリン(字幕版)

  • 発売日: 2020/05/13
  • メディア: Prime Video