映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

吉田大八監督「美しい星」2906本目

たまたま原作を読んだら映画化されてるというので見てみました。つい最近じゃないですか。

しかし原作が書かれたのは1962年、なんと60年前。大杉家の人々がそれぞれ宇宙からの啓示を受ける場面は、小説ではそれぞれが語るだけでその場面は出てこないけど、映画はそこから始まります。小説では、彼らが語る経験がうそっぽくて(夢でもみたんじゃない?)と思うのですが、この映画ではそこが映像でガッチリ作られています。

リリー・フランキー演じる一家のお父さんは小説では無職。(お天気おじさんのほうが面白いからいいと思う)でも地球を守ろうと奔走するのは同じです。お母さんは小説ではもっと平凡だけど映画では怪しい水を売るネットワークビジネスにひっかかったおばちゃん。娘(橋本愛演じる)と息子(亀梨和也演じる)のイメージは小説とかなり近いな。

小説のほうも、最後の最後までこの家族が発狂したのかそれともSFなのかわからなかったけど、映画もそのへんのもやっとした感じは同じです。でも、「それはそれでいいや」って思えるのが不思議。

終わり方はかなり原作に忠実でした。面白みもあるけど、入り込みにくい世界だったなぁ。でもこういう、現実にひゅっと非現実的なものが入り込んで持ってっちゃう感じは好きなんですよ。 

美しい星

美しい星

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