この作品は大人の男女が多数でてきてまともな会話を交わしたりするので、一見すると群像劇とか人間ドラマみたいな普通のジャンルの作品に見える。でも、誰かが会話してる裏で他にも聞き取れるほどの会話が常時流れ続けていたり、なんだかわからない効果音が鳴っていたりと、やっぱり変。ドラッグ漬けでドラッグ以外何もしていない女性を見てたら、ギャスパー・ノエ監督の「クライマックス」のベルリンから来たドラッグ漬けのプシケを思い出してしまった。昔も今もベルリンは悪徳の都なんだろうか。
一見筋が通っているようで、なんとなく追っかけてもどうせわからない気がするけど、さらさら流して見てみる分には、ファッションや部屋や家具のドイツっぽい機能美に浸ってみたり、監督の妄想の世界に遊んだりするのは楽しい。
それにしてもファスビンダー監督の頭の中ってどうなってたんだろう。どう普通じゃなかったのか。いくら見てもさっぱりわからないのが、魅力なんだけどね…。