映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

山下敦弘 監督「リンダ リンダ リンダ」3083本目

16年も前の作品なんだ。ペ・ドゥナは当時でも大人だったはずだけど、童顔で高校生に見えるなぁ。彼女と香椎由宇、前田亜季、そして本物のミュージシャンの関根史織、この4人が可愛くてエネルギーにあふれてて、それだけでこの映画は成功してる。ペ・ドゥナは声質も太めなのでパンクを歌うのに合ってる。

ブルー・ハーツなぁ…私の一つ下くらいから劇的にはまった子が多くて、その年齢の友人たちが沖縄で結婚式を挙げたときに、私は仲間内の即席バンドで「1000のバイオリン」をステージで弾いたのだった。沖縄式の巨大ホテルの一番大きいホールで、インカム付けた司会者に呼び出されて。…その二人はその後離婚しちゃったし、夫のほうはガンで去年亡くなってしまった。そんなに年を取ったつもりはなかったけど、あの頃はみんなバカで楽しかったな…

というような青春なわけだ、彼女たちも。ペ・ドゥナに告白する学生が松山ケンイチだったり、キャスティングがとても良いのです。高校生の女の子を4人ピックアップするときに、なんか可愛いから、みたいな感じじゃなくて、4人の子たちが素でリアルに存在してるふうなのが良い。不機嫌だったりするのが、女子高みたいで。(男の目を気にしてないって意味で)

でまた「リンダリンダリンダ」なのが良い。だって「リンダリンダ」じゃなくて「リンダリンダリンダ」ですよ。ぜったい1つ多すぎる、この過剰が無駄な若さだ。

一切感傷的じゃないのもいい。青春ノスタルジーじゃなくて現役の少年少女の明るさがある。山下監督の作品は、KINENOTEの平均点がよくないのが多いけど、これは良いと思います。見といてよかった。