映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

リチャード・ベンジャミン 監督「リトル・ニキータ」3256本目

<ネタバレあります>

リヴァー・フェニックス少年、初々しい!「スタンド・バイ・ミー」のときの「子ども」より大きくなってるけど、まだひょろひょろしてます。これから成長してすごい役者になりそう!という予感にあふれてた頃。彼のそんな姿を見られるだけでもうれしい。

で、作品全体としては、普通の愛国アメリカ少年だった彼は、軍への入隊を申し込んだばっかりに家族調査が入ってしまって、両親が20年前に身分を偽ってアメリカにやってきたロシア人スパイだということがわかります。…普通それだけで1本作れる。だってバレちゃったらもうそのまま暮らせるわけないし(たとえとっくに両親が足を洗ってたとしても)、本名も変わるし新聞にも載るし、いくら愛国少年でも米軍には入れないし。この映画はそこをそっくりスルーして、「ロシア人スパイを殺し続ける男」と「そいつを追い続ける男」との対立に巻き込まれる彼ら、という構図を作ります。

設定がもう少し穏便な、昔どこかの店の金を持ち逃げした両親、みたいなことだったら何も違和感なかったと思うけど。。。メキシコ国境へ向かう明るいトローリーの中で、銃を隠して繰り広げられる3人家族+軍人+殺し屋+追っ手の攻防は、少年ものの冒険活劇の1ページみたいに、安全なスリルがいっぱいで割と楽しい。

最後は国境で二手に分かれてバイバイ、となるんだけど、ここで私はどうしても、本来の設定に戻って家族の行く末を案じずにはいられないのでした…。