「桜桃の味」の2年後に作られた作品。
つづら折りの道をたどって登っていく車…墓穴を掘る人…といった既視感。でもこの作品は主役の監督が役者っぽいのと、砂の風景だけでなく青いベランダ、白い壁といったギリシャ?トルコ?にも似たカラフルさが印象に残ることとかで、わりとコマーシャルな作品っていう印象です。
命の危機をいったん脱した老婆の死を待つのは、悪い人だからじゃない。事故で誰かが埋まったら助けを呼びに行く。生きることの中に死がある。
…でも実は後期の作品、トスカーナとか東京とかも割と好きなんですよ、私。イランの砂地やその死生観を離れて、ひたすらミスコミュニケーションを起こし続ける都会の人々を描いた作品も面白くて、最終的に監督はどこへたどり着くんだろう?と思ったりしたので、もっと撮り続けてくれたらほんとによかったなぁと改めて思います。