映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ケネス・ブラナー監督「ナイル殺人事件」3387本目

間違って別の戦争映画をレンタルしてしまったかと思った!

若き日のポワロが戦争で体験したことが、冒頭モノクロで描かれています。この作品は愛の物語だからね。去年1978年の映画化作品を見なおしたばかりなので、筋がガッツリ頭に入ってて、最初から「そうか、ロイス・チャイルズがガル・ガドット」などと、あてはめながら見ました。旧作はスター揃いだったんですよね。ベティ・デイヴィスとマギー・スミスの役は誰がやってもあれほどのインパクトにはならないし、ミア・ファローの強烈な不思議ちゃんキャラクターは、誰にも真似できない。ジェーン・バーキンみたいにクセの強いメイドなんていないだろうし、オリビア・ハッセーとレティーシャ・ライトはキャラクターが全然違うのでちょっと混乱しました。

それでもやっぱり、アガサ・クリスティの原作は、動機がすごくしっかりしてるんですよ。誰が誰を殺す、という理由付けにしっかりと人間のサガが表れる。そこが、トリックは完璧だけどまったく共感できなかったりする最近の出来のいいミステリとの違いだなぁ。