映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロバート・ワイズ 監督「ウエスト・サイド物語」3386本目

やっぱり見直すでしょう、これは。

2019年作品も俯瞰から入るけど、これもそうだったんだな。1961年のニューヨーク島。

プエルトリコ系のシャーク団のメンバーは肌の色を少し浅黒く眉を濃くしてあって、黒髪。アイルランド系のジェット団は、金髪の人が多い。でも顔立ちはそれほど違いません。舞台では出自をそれほど重視せず、役柄を振り分けた後で容貌を調整してただろうから、その名残りかな。主役の二人とベルナルドが白人だけど、これは当時は普通だったんだろうな。

ダンスは新作のほうがキレッキレだけど、旧作も素敵です。

キャラクター設定や服装もかなり旧作を踏襲してるなぁ、マリアのダンスのときのドレスもほぼ同じ。全体的に、「焼き直し」と言ってもいいほど旧作どおりという印象でした。

一番の違いは、1961年版はベルナルドが際立っていてトニーは人のいい好青年ふう(ロミオとジュリエットのロミオを踏襲してる)けど、2019年版はトニーが独立心の強い主役ってところじゃないかな。

旧作のほうが反戦メッセージがストレートで強い、とも思いました。若い子たちが争って死者が出てしまう、言ってみればそれだけの映画なんだけど、とても普遍的なメッセージがあるので両方とも良い映画だなぁと思えます。

ところで、この映画に関する最初の記憶は、初めて買った「平凡」か「明星」にアイドルが最新の映画についてコメントするコーナーがあって、そこで山口百恵がこの映画をほめてたコメントがあったこと。「素敵だったのはジョージ・チャキリスの「アー・ユー・クレイジー?」って歌。もうダメ、私」と書いてたのをみょうに覚えてて、小学生の私ですら(山口百恵がもうダメ私とか言うか?別の人が書いたんじゃないの?)と思ったものでした。もはや、どうでもいいか…。

その後何度か見たし、「アメリカ」とか「トゥナイト」とかよく知ってるのに、なぜかトニー=ジョージ・チャキリスだと思い込んでました。ずいぶんシャーク団っぽいアイリッシュだなぁ、って(笑)

ところで、ナタリー・ウッドをググっていたら、わずか43歳で船から海へ落ちて亡くなってしまったのですが、その船上には夫がいて二人は口論していたと書いてあって、(まんま『アネット』じゃん)って思いました。スパークスの二人は意識してたんだろうか。。。