映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

斎藤耕一 監督「約束」3712本目

今年はまだ130本強しか映画を見てない。例年300~500本近くまで見てたのにな。

これは久々に「キネマ旬報ベストテン」の本をパラパラ見ていて、まだ見てない名作のうちVODですぐ見られそうなものを見繕ってみました。これもそのうちの一本。

萩原健一、小さい頃憧れてたな。この愛嬌のあるワルっぷり、なんともいえずチャーミングです。岸恵子はそれより大昔の大女優のように思えるので、カップルにするのは驚きだけど、実際、年齢は20歳離れてる。この映画のような状況でなければ、それほど接点のない二人かもしれない。これほどの雰囲気のある美女なら、年齢関係なく目が離せないだろうけど・・・。

この二人が美しく、寂しげな風景のなかでとにかく映像が素晴らしいですね。

エピソードとしては、①主演女優が決まらず、主演男優の予定だった中山仁(岸恵子とは10歳違い)が降板(ちょっと出てるけどね)、②ショーケンのアイデアでパリにいる岸恵子を抜擢、③あわててショーケンの写真を送って、お目通しの結果この二人で制作が決定 らしい。

寒々とした漁師町を歩く岸恵子。何もない日常に現れる都会。今なら、こういう不穏な人物のことはネットで調べればすぐわかるから、突然現れる「都会」って民法のバラエティ番組のアポなし取材くらいなんじゃないだろうか。この映画の頃って、こんな風なひとときの逢瀬がありうるロマンチックな時代でもあったのかな、と想像してしまいました。