映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

中川信夫監督「東海道四谷怪談」3711本目

これ小さい頃にテレビで見て、怖くて眠れなくなったような記憶があります。違うバージョンの可能性もあるかな?

お岩さんとお袖さんの姉妹、日本人形のように上品で美しい。夫となる伊右衛門は若くてシュッとした天地茂。この人はしかめっ面をしていても違和感がないな・・・。いつも悪事をそそのかす仲間の直助を演じたのは江見俊太郎。この人芸歴長いな!同じドラマに入れ代わり立ち代わり、さまざまな悪役を演じてきたんですね。尊敬する・・・。この映画では、いまどきの若い歌舞伎俳優みたいなイケメンです。

お岩さんは生前は体が弱かったけど、すごく強い心を持っていて、肉体から解き放たれてからの活動がすごいです。(←そういう見方する?)彼女が飲まされた毒って、ヨーロッパの寒い国でよく使われている薬みたいなのだろうか。ステロイド治療や移植手術ができたらきれいに治ったかもしれないのにね・・・。(どうしてこう近代の現実のようにとらえてしまうんだろう私は)

この頃の人々は(ある意味今もだけど)情報が乏しく、そそのかすのが簡単だったように見える。「おまえのような身分の低い者」という言葉が普通に出てくるのが、今見るとちょっと驚きだけど、武家の娘の気の強さはこのほかにも、以前姉の夫であった仇を自らのなぎなたで殺傷する場面でも際立ちます。

おおむねストーリーが頭に入ってしまっているので、恐怖の場面は既視感があってちょっと残念。今、数々の新しいホラー映画を見たあとでこの映画を見たらどう感じたか、すごく興味があります。