この映画が公開されたころはもう、私は一日一本くらい映画をみる生活に突入していて、この映画のことも覚えてる。井浦新や若松監督をやる、ということしか覚えてない。でも主役は吉積めぐみという、実在した女性の助監督なんだな。見てみないとわからないもんだ。
冒頭から、音楽がべらぼうにカッコいい。曽我部恵一か。当時の若松プロの人たちも、こんなにカッコいい音楽は聴いてなかっただろ。
途中であらすじを見て結末を知ってしまったけど、”こどもをおろす”ということは、一度シリアスに受け止めてしまうと耐え難いことなんだろうと思う。そういう形で自分の中の命を絶たせてしまったことが、その後の人生を変えてしまうこともある。強がっているけど繊細な彼女を、門脇麦がよく演じてたと思います。彼女は見た目とかはいつも同じなんだけど、そこにその人がいるとちゃんと感じさせる、なかなかな大物だなー。
それにしても吉積めぐみもカッコいい。獣みたいな男どものなかで短い時間を生き切った。名を残さないこういう女性が、世界中のあらゆる場所にいて、短い一生をすごしてきた。私たちは彼女たちを知らないけど、さまざまな形で、今でいう”つめあと”を他の人たちの胸に残してきた、世界をほんの少しずつ変えてきた、と思います。見てよかった、この映画。