映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

阪本順治監督「魂萌え!」386本目

面白かった。
まず原作がいいんだな。桐野夏生だから人間造形が確実でストーリー構築もすごい。ただ、彼女の作品に必ずある「人間のみにくさ」みたいなものが全然感じられませんでした。これは監督の影響なのかな?浮気して急死する夫が寺尾聡だもん、悪い人に見えないよね…。

主人公風吹ジュンを含む4人の主婦グループは、彼女の他に由紀さおり藤田弓子今陽子。この性格付けもうまくて、主人公の受ける衝撃をうまく受け止めて散らすクッションのように働いています。…今回は共謀して殺人したり解体したりはしません。

夫の不倫相手の三田佳子も強烈で良いです。風吹ジュンの息子(田中哲司)の身勝手さ、娘(常磐貴子)の無関心もいいし、風吹ジュンを誘惑する男(林隆三)もいい。彼女をラブホテルに誘って断られたあと、家に電話をかけて「おじいちゃんだ。おばあちゃんにな、今夜やっぱりご飯食べるって伝えてくれる?」…ってのに笑った。

カプセルホテルって、わびしくていいなー。何もないデパートの屋上と同じわびしさ感がありますね。今度どっかで泊まってみよう。