映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

蔵原惟繕 監督「銀座の恋の物語」697本目

1962年作品。かの有名な「銀恋」の映画。さぞかし夜のラウンジのムード歌謡感たっぷりな映画かと思いきや、冒頭に銀座和光の時計台が映った…と思ったら次のシーンでは、人力車を引く裕次郎の姿が!いい感じにいきなり落としてくれます。肉体労働のバイトをしながらアートで身を立てることを夢見る彼が、仲間のジャズマンが作曲したこのメロディに勝手に歌詞をつけて歌っているのが「銀座の恋の物語」、という設定。そう言われてみれば、コード進行はちょっとセントルイスブルースみたい?

次の場面では、彼の恋人=まだホッペがふっくらとして可愛らしい浅丘ルリ子が、楽しそうに職場でミシンをかけています。カラフルでおしゃれな洋服がいっぱい。これがファッショナブルな銀座のイメージだったんですかね。
62年といえば私が生まれる少し前、つまり私の父と母がデートでこういう映画を見ていたという時代か。

ストーリーは記憶喪失もので、その部分には話の持っていき方に無理がある部分もあります。でも、そんな銀座の風俗がとても楽しくて素敵で、まいっか。当時の若い人たちがポーっと憧れてスクリーンを見上げたトレンディドラマ、です。