映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

瀬々敬久監督「ドキュメンタリー頭脳警察」2653本目

ミニシアターエイドで見られる作品の中から選んだうちの1作品が、これ。ずっと見たかったのにDVDはレンタルしてなくて、今まで見る機会がなかった作品です。

また若い頃の黒歴史を引きずり出してくるような映画を見てしまったのですが…初めて買ったCDが多分、PANTAのベストアルバムじゃないかな。中高の頃は中二なのか何なのか、日常にストレスを溜めていて、パンクとかこういう音楽とかを求めていた時代がありました。私は政治的に特に左ってわけでもないけど、まだ子どもだったから、イメージとしての革命をカッコよく思ってました。PANTAはそもそもソロ活動(当時多分日立マクセルのCMで「つれなのふりや」が流れたりしてた)が好きになったんだけど、日本的なリズム感と声が好きだし、歌詞が過激な一方で曲がメロディアスなのも良かったです。

ほとんど世に出ることがなかったはずの頭脳警察ファーストとセカンドのテープが大学の頃には誰かから回ってきてちゃんと持ってたし、卒業した頃に再結成したライブには盛り上がって行きました。音楽が生活の半分以上を占めてた。自分にそんな勇気やエネルギーがあったのは、今となってはピンとこないけど、それが若かったってことなんでしょうね。

このドキュメンタリーは監督が瀬々敬久ってのが、なんとなく「なるほど」感がある…頭脳警察も彼もイデオロギーで頭がいっぱいで、たまに周囲の人たちを置いてけぼりにする感じが似てる。(作品はともかく、そういう人たちって魅力を感じます)この映画も5時間もあるのですが、第一部はいわゆるバンドのドキュメンタリー、第二部は軍の看護婦だったPANTAの母の軌跡を追い、第三部は再結成ライブ。3枚組のボックスセットを1つの作品と呼んだ感じです。

映像の中でPANTAは始終、人のいいおじさん風に破顔するんだよな。なんか、悪役俳優の素顔、みたいな感じ。

なんと今年、ちょうど今、この作品に続く彼らの新しいドキュメンタリー映画が公開されているらしい。 ググったら町山智弘が宇多丸と少年のように熱く頭脳警察を語ってるのを見つけてしまった。なんだこの流れ(笑)。このとき結成40周年、今年は50周年といわれてみたら確かにそうだ。面白い巡りあわせだ。(私はこういう偶然によく恵まれると人に言われます)

文字通り中二の頃いちばん好きだった「ルイーズ」のライブが見られたのが嬉しかった。(試験管ベビーの名前なんですって。どこまでも社会派。) 

ドキュメンタリー 頭脳警察 [DVD]

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  • 発売日: 2010/08/06
  • メディア: DVD