映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

「COLA WARS/コカ・コーラvsペプシ」3016本目(KINENOTE未掲載)

面白く見ました。1980年の「2本のコーラ、飲み比べてみて好きなのはどっち?」キャンペーン、強烈に覚えてます。一般の人がCMに登場するのって、日本では石坂浩二が街行く女性に声をかけて髪の水分量を測らせてもらうのがありましたね。あの頃は本当に素人が出てて(今はみんなエキストラだ)、見てる人たちはちょっとドキっとしたものでした。それが宣伝効果になった時代。

真っ最中には見えないことが、終わったあとで振り返ると見えてくる。「現象」として観察することができる。20年くらい前には「Windows vs Mac」みたいなPCの世界の競争をとりあげたドキュメンタリーをMBAコースとかで見たものだった。

しかし、250億ドルの市場を争うのにコカ・コーラの宣伝費が100億ドルってどういう計算だ。まったくもってバカなお金の使い方。炭酸飲料のマーケティングとか宣伝って、「ブルシットジョブ」の典型だなぁ。1缶の値段の大半が宣伝費だ。(残りは水と炭酸と、身体にあまりよくない成分か。たまにはいいけど)ただ、面白い。つい見てしまう。自分がまっただなかにいたら、とりあえずがんばってみるだろうな、他のみんなが頑張ってるから。

「ブルシットジョブ」って、定義としては「やらなくてもいいこと、やりたくない無意味でつまらない作業」だけど、私から見て「あそび」だと感じる仕事のことも含むんだなと、この作品を見て思いました。私の感覚で「あそび」と思うことって、生きていく上で必要じゃないこと、役に立つかもしれないけど余裕があるからやってること、とか。つまり「やらなくてもいいこと」。コークvsペプシキャンペーンなんて、人類にとっては本当にどうでもいいことだけど、飲み比べてどっちが勝ったとか負けたとか言うのってすごく盛り上がる。一時的にはとても楽しい。「あそび」だ。

私は年をとってきたから、そういうあそびに身が入らなくなってきたのかなぁ…。この先の人生は地味で利益率の低いお仕事をやっていこうと思ってますよ。。。(だいぶ話がずれたけど)