映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

バリー・レヴィンソン監督「ダイナー」3022本目

今こういう映画見る人少ないだろうな、という作品ばかり見ている。

公開は1982年、ミッキー・ロークが俳優人生最高に二枚目でケビン・ベーコンは最高におバカでみんな若い。「See you at the Diner, OK?」ってカッコイイよなぁ。いつもの店で、あとでな。(でもこういうダイナーってマルホランド・ドライブとかベイビー・ドライバーとかのおかげで、今に恐ろしいことが起こるぞ、と思ってしまうのが不幸だ私は)

舞台は1959年で、結婚してる仲間もいるから、20代後半くらいの設定かな。やってることは70年代の若者と変わらない。その頃の流行もあるんだろうけど、彼らはわりと身なりがきちんとしてる。

こういう、ちょっと大人が主役の青春群像劇ってアメリカのTVドラマみたいだ。ミッキー・ロークが明らかに浮いててケビン・ベーコンはちょっと幼すぎて、他の男たちはあんまり印象が強くないので、なーんとなくちぐはぐな感じがする。当時の流行もあるんだろうけど、みんな身なりがよくてお坊ちゃんたちがつるんではしゃいでる感がある。レコードのB面がどうだこうだ、とか、なんか男どうしの内輪受けの世界。

監督は自分のふるさとボルチモアに思い入れを持っていたらしい。この映画は彼の青春なんだろうな。女性は…「あの女と寝たらxドル」という賭けの対象ですから、この映画を見て共感する女性は少ないだろうな。(かといって、女同士の友情を描こうとすると、とたんに騒がしいビッチ映画になってしまう気がする)

映画のセリフと男女のやり取りが一致するとか、鏡のはしに会いたくない男が映りこむとか、こまかい演出に凝ったところがあります。

この映画、当時は「イケてる奴らがつるんでる感じがカッコイイ」って感じだったのかな。今見ると、それほどピンとこなかったですかね…。