映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アニエス・ヴァルダ監督「アニエスによるヴァルダ」3294本目

これは彼女が夫のために「ジャック・ドゥミの少年期」を作って送り出したように、今度は自分を語る作品を作ったものですね。「5時から7時までのクレオ」など、見ておいてよかった。やっとこの作品を見る用意ができました。

「少年期」があまりにも愛にあふれた作品で、彼女のことを一気に好きになってしまったので、この作品も彼女を信頼して見始めます。が、とても実験的な作品作りに挑戦しつづける人なので、観客動員が低調だった作品もけっこうありそうで、見てみたいかどうかというと微妙なものもあります。

逆に?、写真家だった頃の写真は、どれもひきつけられます。やっぱ才能あるわ!…「顔たち、ところどころ」なんかは写真家のときの作品と通じるところを感じてしまいます。なんか、芸術家なんだよね。あの映画の、一般の人たちの巨大なポートレートも素敵だし、浜辺のインスタレーションもすごく好き。(大画面で壁に静止画を映して、床には打ち付ける波、手前に砂を敷いたやつ)

彼女は夫にドキュメンタリーを作ってあげられたけど、自分のドキュメンタリーも自分で作った。夫の病気のことは病名までは触れてなかった(あるいは字幕には出なかった)と思うけど、そこは一番大事なところじゃないもんね。

周りの人を愛し、人の思いをやさしく印象的な方法で表現しつづけた彼女を尊敬してしまうし、そういう人でありたいなと思うのでした。リスペクト。

アニエスによるヴァルダ [DVD]

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