なかなかスリリングで、暴力描写は唐突だったり残酷だったりもするんだけど、見終わると納得感もあるなかなかの佳作だったと思います。なんか、ジョーダン・ピール監督の「NOPE」を思い出しました。全体的にすごく、欧米による支配による長年の痛みをこの映画で少しでも発散したい、というベクトルが共通してるようで。
監督を含む彼ら自身は、攻撃してくる者たちには激しく反撃するけど、正面切って訪ねてくる者に対しては、あくまでもフラットに、どんな目に遭っても美味しいご飯を出す。毒など入れていないし、背後から襲ったりもしない。最後の仕打ちも、残酷ではあるけど、自分たちで手を下すというより、天に判断を任せる。自分たちはそういう者たちなのだ、という主張がこの映画にある。
そしてこの映画で特筆すべきなのは、地元の有力者たちが、欧米の力を利用して、自分たちの得になるように、地元の一般の人々を平気で蹂躙するという構造。これがアフリカ大陸や南米大陸で、欧米の罪悪感を減らして、国内政治を不安定にして、力をもたない一般の人たちを苦しめてきたのは事実だと思う。
当事者に共感する他者ではなく、当事者自身による作品ってすごく重要で、これからも見ていたいと思います。