映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

竹林亮 監督「MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」3819本目

タイムループものって、だいたい面白い。「ビューティフルドリーマー」とか「ヨーロッパ企画」関連とか最近よく見てるのに、まだ見てみる。冒頭からマキタスポーツのお調子もの部長のキャラが冴える!で、絶対まずそうな”味噌汁炭酸タブレット”のマーケティングが、軽薄な仕事の辛さをかもし出してる。

タイムループものやタイムマシンものに、「三体」みたいな緻密なSF的根拠の構築は、はなから求めない。できるだけ、そういうのを気にしない幸せな映画鑑賞者のままでいたいと思う。初心、大事。思うに映画ファンにはフェーズがあって、①何を見ても新鮮。映画って素晴らしい。②(どハマりして寝る間も惜しんで過去の名作とか見まくる)③いろんな新しい映画が過去の名作の二番煎じ、三番煎じに思えてくる。感想が辛くなりがち④そんな自分に嫌気がさす⑤一周回って、ベタなものが素晴らしく見えてくる。すべての映画に対する愛を再確認/一部、一切映画を見なくなる人もいそう

私はいま④と⑤の間あたりにいるかもしれないんだけど、①に戻りたい気持ちが強い。18歳の少女に戻ったつもりで、一切の煩悩(違うか)を頭から追い出してこの映画を見ます。

主役の円井わん、不機嫌な仲里依紗?みたいな感じでいいですね。一人ずつ、気づかせていって仲間に引き込んでいく感じもすごく面白い。唯一気づかない部長に、彼以外の(ほぼ)全員で会議形式でプレゼンするのも笑える。リアクションまで彼らが把握してるのも。だいたい、この映画ではループの尺が1週間と長い。数十分でも1日でもない。これは疲弊するでしょう、そもそも徹夜続きで土日も会社泊まりの広告代理店だし。

タイムループのメカニズムには説得力があまりなかったけど(ああ、やっぱり私は④の映画鑑賞者)マンガも良かったし、世代間のギャップのないこの職場はブラックといえば真っ黒だけどいい職場だし、見て良かったです。