U-NEXTで見ました。タランティーノ特集→イーライ・ロスのホラー映画レビュー→イーライ・ロス監督作品、と見てくると、彼らがどんな気持ちでホラーやスプラッターといったバイオレントな映画を作っているかがだいたいわかってきた気がします。
この映画でむやみやたらと繰り広げられる残虐な殺戮は、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を見直したときに気づいた、暴力そのものへの興味関心に通じると思う。「憎んでいい人」、暴力のターゲットにしていい人は、彼らにとって、大好きなハリウッド映画の世界を血で染めたヒッピーの殺人者であり、先住民のことも良く知らずにいいことをやってるっぽい偽善者たち、なんだな。これ、社会派メッセージでも何でもなくて、監督の単純な好き嫌いだと思います。好きな人たちを殺戮する映画は作れない。
イーライ・ロスはタランティーノよりもっと肉体嗜虐への関心嗜好が強くて、こういう映画を作っちゃうわけだけど、「ホステル」もこの映画も、もはや何もかもがハリボテに見えて全然怖くも気持ち悪くも感じなかったです。多分、作ってる人たちには、泥まみれになって遊ぶ快感やぬいぐるみをバラすときの背徳的な気持ちを超える残虐性はないんじゃないかと思う。
一番気になるのは、令和の時代に(アメリカに令和は関係ないけど)チリの”先住民?”を裸にして体を真っ赤に塗って人食い族の演技をさせることだよな。なんとなく、タランティーノとイーライ・ロスが無邪気に、小さい頃に見たインディアンの映画がカッコよかったとか言ってはしゃいでる様子を想像してしまうので、あまり毒のない演出なんだろうとは思うけど、本人たちに悪気があるかどうかが問題ではないわけだから。。。
本気で震え上がるような映画なら全然見たくなかったので、最後まで見られる作品でよかったとは思います。