ぼんやりした映画、と思う人もいるかもしれない。私はこの雰囲気が嫌いじゃない、体質に合うけど、ちょっと物足りないところもある。
たとえば、井浦新が8ミリ少年とコーヒーを賭ける場面は、その後のコーヒーを囲んだ談笑が一番見たかったんだけどな~。行ったことのない土地の、駅の中の昔ながらの喫茶店で、初めて話をする二人が語り合う嵐電…。
あがた森魚の歌がぬーっと流れると、ここは下北沢か吉祥寺の昔からの喫茶店だっけ、と錯覚しそうになる。お金がなくて時間ばっかりあった学生時代の”気分”だけそのまま戻ってくる。今だって仕事してないのに、忙しく映画見たり本読んだり、空いた時間をそのまま味わえなくなったのっていつからだろう?とか思ったり。
強烈なビジュアルやストーリー展開がない映画ほど、無意識に自分を振り返ったりするきっかけになるから面白いんですよね。コロナの時代の何もない時間に、そういうことが味わえるのは、わりと良いことじゃないかな。。。