フリッツ・ラングがアメリカで撮った映画って、なんというか、どれも感動するような内容はないのに、なんともいえずいいんだよな。まず映像構成が素晴らしい。冒頭の、電車の切り替えや、電車どうしがすれ違うときの高速でスリリングな映像。さすがドイツ出身、機械文化の美しい部分を強調していて印象的。停車した電車の間をぬって酔った男が歩いていき、彼を襲おうと企む男が後を追う場面も素晴らしい。
登場人物も、朝鮮戦争帰りのちょっぴりニヤけた女好きの機関士をグレン・フォード。悪い上司の妻、ちょっと上向きの鼻と上目遣いがそそる女性をグロリア・グレアム。すごくチャーミングだなと思ったら、彼女を題材にした映画があるんですね!「リヴァプール、最後の恋」、さっそく見なくちゃ。
タイトルの「仕組まれた罠」は、グレン・フォードが上司の妻にはめられたと思ったという場面ですね。でも「罠(?)」とするのが正解だったかも。悪い男たちはセクシーな女性を常に悪女と決めつけて、犯したり、利用したり、横恋慕したり、裏切ったり捨てたり、しまいには殺したりします。ひどい映画だまったく。(←言ってるだけ)
原作が同じ「獣人」という映画のほうがよく知られてるようだけど、見る限りまるで違うストーリーだ。こっちの映画のほうは、結末に納得感がないけど、画面がカッコよくてゾクゾクしたので十分楽しめました。
「梅牡丹」って書かれたハッピというかキモノが下宿の娘へのおみやげなんだけど、これって何だろう?