映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フリッツ・ラング監督「恐怖省」2539本目

引き締まった白黒映像。「恐怖省(Ministry of Fear)」ってタイトルは、なんとなくSFショート・ショートみたいでそそります。「第三の男」と同じグレアム・グリーンの原作なんですね。

精神病院を出たばかりの、帽子の男を演じるのはレイ・ミランド。「失われた週末」や「ダイヤルMを廻せ!」の人でした。マグリットの絵のなかの帽子の男みたいな黒髪と濃い眉。そして映画の流れはタイトルが示唆するように、SFというかオカルトな流れへ…。なんだろうこの降霊会みたいなの。アメリカへ渡ってからのフリッツ・ラングは、なんというか、大衆受けしそうだ。こじゃれてる。この映画も、占い師のオバサンがなんで若い美人にすりかわったのか?なんでわざわざ人目につくケーキにマイクロフィルム(今のSDカードくらいの大きさなのが、不思議とリアリティあるな。容量全然違うけど)をしこんで受け渡す?…など、わからないまま飛ばしてどんどん行きます。いろいろわからないことはあるけど、面白い。悪い人、警察、美しい女性、主役、それぞれのキャラがマンガみたいですごく魅力的なんですよ。強いて言えば手塚治虫のマンガみたい。

わからないまま、何度も見ようとは思わない(完全に把握したところですごい謎ではなさそうなので)けど、なんか素敵だったので良いです。引き続きほかのもレンタルします。

フリッツ・ラング傑作選 恐怖省 [DVD]

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  • 発売日: 2010/10/08
  • メディア: DVD