引き締まった白黒映像。「恐怖省(Ministry of Fear)」ってタイトルは、なんとなくSFショート・ショートみたいでそそります。「第三の男」と同じグレアム・グリーンの原作なんですね。
精神病院を出たばかりの、帽子の男を演じるのはレイ・ミランド。「失われた週末」や「ダイヤルMを廻せ!」の人でした。マグリットの絵のなかの帽子の男みたいな黒髪と濃い眉。そして映画の流れはタイトルが示唆するように、SFというかオカルトな流れへ…。なんだろうこの降霊会みたいなの。アメリカへ渡ってからのフリッツ・ラングは、なんというか、大衆受けしそうだ。こじゃれてる。この映画も、占い師のオバサンがなんで若い美人にすりかわったのか?なんでわざわざ人目につくケーキにマイクロフィルム(今のSDカードくらいの大きさなのが、不思議とリアリティあるな。容量全然違うけど)をしこんで受け渡す?…など、わからないまま飛ばしてどんどん行きます。いろいろわからないことはあるけど、面白い。悪い人、警察、美しい女性、主役、それぞれのキャラがマンガみたいですごく魅力的なんですよ。強いて言えば手塚治虫のマンガみたい。
わからないまま、何度も見ようとは思わない(完全に把握したところですごい謎ではなさそうなので)けど、なんか素敵だったので良いです。引き続きほかのもレンタルします。