映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン 監督「裸足の季節」2456本目

裸足の季節といえば松田聖子1980年のデビュー曲なのであって、この映画は2015年制作のトルコが舞台の映画だけど原題は「Mustang」。野生の馬という意味…なるほど、無邪気な少女たちを野生の馬にたとえた。だから裸足をイメージしたんですね。少女時代の終わりを描いた切ない映画です。5姉妹は本当に、野生の動物たちみたいに美しい。

で、内容は「ヴァージン・スーサイズ」になりかねないような、若い姉妹たちの幽閉です。(公式サイトで監督はこの映画を意識しなかったと述べていますが)閉じ込められた理由が、男の子たちと「騎馬戦」をやったから…。冒頭のこの部分に意味があると思えなくて見過ごしてしまったくらいなのに。イヤらしいのはこの子たちでも男の子たちでもなく、大人たちの頭の中じゃないか。(こっそり男の子とデートする子もいるけど)で、 無理やり結婚させられるなんて。…常識とか規範って文化によって違うから、この国の少女たちは「イヤだけどしょうがないこと」と思えるのかな。ひどいセクハラとどっちが嫌だろう…セクハラは学校なり会社なりを辞めればいいけど、結婚は一生のことだからやっぱりキツイわ。

<ネタバレあり>

筋を追いきれない箇所が何度かあって、しかもわりと重要な部分だったりしたので、何度も見直したりネットで調べたりして、やっとわかりました。三女と四女の寝室に叔父が通ってきていたこととか…。そういう刺激の強いことは直接的に描かないから。

「サーミの血」のような大冒険となりましたが、彼女たちはその後どうなっていくのか…決して楽な道ではないはず。強く生きてほしいなぁ。 

裸足の季節(字幕版)

裸足の季節(字幕版)

  • 発売日: 2016/12/14
  • メディア: Prime Video