原作者の押見修造に浦沢直樹がインタビューする「漫勉」って番組をたまたま見たら、この映画を見てみたくなりました。映画かNHKばっかり見てる。
吃音って苦しいと思う。私はいつも、あたまで考えることが先走って口がついていかないから、何か言いたいことがあるときほど、つっかえるしうまく口から言葉が出ない。ワープロを打つように喋れたらいいなと思うこともあるけど、そうなったら言葉を選ばずにしゃべるようになりそうで、もっと嫌だな。私はたくさん考えるほうの人が好きだ。いっしょうけんめいさ、不器用さ、が感じられて可愛いじゃないか。
この作品は、わだかまってる主人公が、”ルックスに自信のない男子”じゃなくて可愛い女の子、元ニコモの南沙良ってところが個性なのかな。(清原果邪も同期らしい。ニコモすごいな)「ダブル主役」のもうひとりを演じてる蒔田彩珠って最近よく見るな。いつも、ちょっとユニークだったり、ちょっと外れてたりする子を演じてる。最初から若さや可愛さをまったく主張しないところが、なんか気になる女優さんです。
吃音の子が音痴を笑う。自分を嗤った人がバンドに入ってくる。といういろいろ残酷なシチュエーションとか。ブチ切れたあとに訪れる調和できれいにまとまっているけど、こうはいかないことも多いだろう。ダイバーシティは拡大の一途で、変化についていけない人に新たな澱が溜まり始める。この作品は、世界の調和を夢見て書かれたのか、それとも片隅で生じている葛藤を見えるところに置きたかったのか?安易な暗ハッピー・エンディングよりハッピーなほうがいいけど、幸せな気持ちというより葛藤する彼女の姿が頭に残る作品でした。