映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2017-01-01から1年間の記事一覧

ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」1615本目

最近わりと新作を映画館で見てる。楽しい。 パターソン、静かに優しい映画でした。 喉がフゴフゴするチーズと豆苗のパイを「おいしいよ」って食べてあげる。 素敵なフレーズも、そうでもないフレーズも、「美しいわ」って聞いてあげる。 毎朝、先に目覚めた…

デイヴィッド・リンチ監督「ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間」1614本目

1992年の作品。 改めて見ると「シャイニング」の仲間だなぁ。 昔、この映画だけ見てツイン・ピークス本編は見ないままだったんだった。 撮影に使われたワシントン州スノクオルミーの滝には行ったのに、知ったかぶりして済ませてた。 しかも当時は、荒れた生…

モフセン・マフマルバフ 監督「独裁者と小さな孫」1613本目

ジョージア フランス イギリス ドイツ合作映画で、イランからヨーロッパに亡命している監督がジョージアで撮影した作品・・・という、極東の島国の私には理解するのが難しい状況で作られた作品。言語は何語?と思ったら、キャストは現地ジョージアの人たちで…

野村芳太郎監督「事件」1612本目

激情型(劇場型?)姉妹の悲恋物語にもできる題材だと思うんだけど、とても硬質な法廷ドラマとなっています。 新藤兼人の脚本が締まってますが、彼自身が監督したら、多分もう少しほろりとくるドラマになったんじゃないかな? 年齢を経た男女でなく、あえて2…

廣木隆一 監督「さよなら歌舞伎町」1611本目

こういう映画なのか。 たくさんの男女が行き交うけど、時系列が並んでいて、ときどき時刻が表示されるので、あまり混乱せずに見られます。エロ映画ではないけど、舞台は歌舞伎町のラブホテル。 フロントがネットカフェみたいだ。廊下が真っ暗で、後ろ暗い感…

ポール・ヴァーホーヴェン 監督「エル ELLE」1610本目

偉大なるイザベル・ユペール様の問題作ということで楽しみにしてました。公開初日に映画館で見るのなんて、私としては珍しいのです。しかし予告編はミスリーディングですよね。「ファーゴ」が、怖い映画みたいに宣伝されてたのにほぼコメディだった、という…

フレッド・ジンネマン 監督「地上より永遠に」1609本目

1953年の作品。 バート・ランカスターというのはこういう男か。いい男ですね。ジョージ・クルーニー的。 デボラ・カーというのはこんな女性なんだ。いい女だなぁ!シャーリーズ・セロン的。 つまり典型的な美男美女による美しい不倫。 というのだけがテーマ…

ウォルター・ヒル 監督「48時間」1608本目

これはまた昔の映画だな。1982年といったら今からさっ35年も前! 「エディ・マーフィー 現在」の画像検索結果を見たら、この映画のときと「ビバリーヒルズ・コップ」のときと現在が全く変わってなくてびっくり。ジャケットに写ってる主役の髪型がプレジデン…

ジェイ・ローチ 監督「奇人たちの晩餐会USA」1607本目

本家フランス映画のリメイク。これは2010年の制作だそうです。 冒頭とか設定とかが違う。パーティの主催者ではなくて、ハイソなグループに入りたい男の上昇志向がポイントになってる。まだ結婚してなくて、ほぼ婚約者vs一度過ちを犯した昔の女、という形。(…

シャルル・ビナメ 監督「エレファント・ソング」1606本目

2014年のカナダ映画。 グザヴィエ・ドランが英語しゃべってる。ネイティブじゃないという感じはないけど、フランス語の方が自然な気がする。。。誰もが愛するものを失うという、悲しみに満ちた映画なんだけど、全員大人なので誰もオイオイ泣いたりしません。…

アレハンドロ・ホドロフスキー 監督「ホーリー・マウンテン」1605本目

1973年にアメリカで作られた映画。そんなに前なんだ。 てことは錬金術師は息子じゃなくて監督本人なんですね。相変わらずのホドロフスキー節。 全裸、というより、性器まるだしという表現の方が合っているような。 丸鶏の磔の群。王様の格好をさせられたカメ…

アラン・パーカー監督「ダウンタウン物語」1604本目

1976年の作品。 子供たちが演じることもあり、作られた時代がわかりにくい映画なのですが、音楽が・・・「ベンジー」を思い出してしまった。私のイメージする一番いい時代のアメリカ。穏やかで優しい音楽で、いきなりしっとりとしてしまいます。私の大好きな…

クリスチャン・ヴァンサン 監督「大統領の料理人」1603本目

元・大統領の料理人、元・南極料理人 で今は多分地上の料理人、の映画。 南極から始まるので、ちょっと混乱した。どっちの立場も相当レアで、物語になりやすい職業だと思うけど。食べたことはおろか、見たこともないような美しく美味しそうなお料理がたくさ…

フランシス・ヴェベール 監督「メルシィ!人生」1602本目

「奇人達の晩餐会」も面白かったけど、同じ監督のこの映画も最高でした。 え?主役の名前がまたFrancois Pignon?この間みた「奇人達の晩餐会」の模型作りも、そんな名前だったぞ。 全然キャラクター違うんだけど、彼もこの人も経理畑の”面白みのないおバカ…

チャン・ヤン 監督「スパイシー・ラブスープ」1601本目

1998年の中国映画。 冒頭に、白と赤のスープが陰陽印の鍋で煮えているところが映し出されます。スパイシー・ラブスープというのはこの辛いスープのことなのかな。 これは、コメディというよりロマンチックな群像劇ですね。北京ってなんて素敵な街なのかしら…

藤田敏八 監督「リボルバー」1600本目

1988年の作品。30年も前か。 昔みたけど、今「直木賞受賞記念・ひとり佐藤正午ブーム」の真っ最中で再び見てみました。DVDのレンタルがないので、今日も太古のVHS機器、稼働中。ものっすごく昭和の匂い(バイタリス、とか)がプンプンする、かぐわしい映画で…

ミケランジェロ・アントニオーニ 監督「情事」1599本目

1960年のイタリア映画。 ちょっと怖いけど、よくあること、として受け入れなきゃと頭のどこかで思っている。 島で行方不明になった女性が、あまりにも瞬間的に過去の人になってしまうのが恐ろしい。 本当に彼女はどうなったんだろう。愛が冷めてしまった男に…

アレハンドロ・ホドロフスキー 監督「ホドロフスキーの虹泥棒」1598本目

1990年のイギリス映画。 あれ、この監督ハリウッドにいたんじゃなかったっけ? 色々あったので、この時期はイギリスでやってたのかな。英国的と言われれば英国的な気がする映画。ピーター・オトゥールとか、イギリスの俳優が出てるし? とにかく水、水、水、…

フランシス・ヴェベール 監督「奇人たちの晩餐会」1597本目

1998年のフランス映画。 やばい、これは傑作だ。「まぼろしの市街戦」の感想を書いたら、フランス語が堪能な友人がフランスのコメディ映画について教えてくれたので、早速見てみたのですが、あまりの完成度の高さに驚愕です。なんで今まで何も知らなかったん…

関川秀雄 監督「ひろしま」1596本目

この映画もずーーーっと見たかった。 商品化されたことはないと思ってたので、上映情報をずっと追っかけてたんだけど、DVDが存在することを知ったので借りてきました。やっと見られたーーー。先日見た「二十四時間の情事」は、この映画の岡田英次を見初めた…

トニー・リチャードソン 監督「長距離走者(ランナー)の孤独」1595本目

1962年、ずいぶん昔の映画なんだなぁ。 これもVHS以降ソフト化されてなくて、見るのが非常に難しい映画だったんだけど、渋谷のツタヤでVHSを借りました。 白黒の画面の中の、スカした不良少年たちの表情、なんかジム・ジャームッシュの映画みたいだわ。 ・・…

フランチェスコ・ロージ 監督「予告された殺人の記録」1594本目

1987年の、フランス・イタリア合作映画。 これもずーーーっと見たかったんだ。 原作を読んだとき(2014年7月)に、はるか彼方の街で繰り広げられる色鮮やかな村祭りのような物語を想像して、神話の世界を覗き見たみたいに胸が高まりました。自分の想像を超え…

パオロ・タヴィアーニ 監督「グッドモーニング・バビロン!」1593本目

1987年のアメリカ・フランス・イタリア合作とキネマ旬報データにはあります。 言語は全てイタリア語なんだけど、口と合わないんだよな〜。みんな本当は何語で喋ってたんだろう? アメリカでは英語、イタリアではイタリア語、かな、普通に考えると。この映画…

橋口亮輔 監督「ハッシュ!」1592本目

2001年の作品。 「恋人たち」や「ぐるりのこと」、そして「渚のシンドバット」の橋口亮輔監督のちょっと前、いやもう16年も前の作品。 主人公の3人がゆるくていいです。こんな風に、がんばらず素のまま生きられたら楽だろうなぁ。でも出世とかしないだろう…

ジョン・ヒューストン 監督「ザ・デッド <ダブリン市民>より」1591本目

1987年の、アメリカ映画! アイルランド映画かと思ったら違った。83分と短いのは英国的だし、確かにアイルランド訛りではないなと思ったけど、英国的だけど少し違う感じがアイルランドなんだと思ったのに。アンジェリカ・ヒューストンは見てすぐに「アダムス…

フィリップ・ド・ブロカ 監督「まぼろしの市街戦」1590本目

1967年のフランス映画。 DVD化されてない映画なのでVHSをレンタル。意外と画質は悪くないです。 フランス映画だけど言語は英語。英語吹き替え版なのかな?口の動きと声が合ってるかどうか、今ひとつよくわからない・・・。第一次大戦末期のフランスの小さな…

ダニエル・マン 監督「八月十五夜の茶屋」1589本目

1956年のアメリカ映画。 マーロン・ブランドが、「クラウド・アトラス」のジム・スタージェスのように二重まぶたを一重に見せかけて日本人役を演じる(!!)という、珍品中の珍品。 新宿のツタヤで奥からVHSを出してきてもらったら、店員さんが(こんなの借…

今敏監督「PERFECT BLUE」1588本目

1998年の作品。原作があるミステリー作品。今敏初めての監督映画だそうです。 キャラクター原案は江口寿史。かなり可愛いです。 アイドルを中心とした作品なんですよね。しっかりストーリーを展開することが中心にあるので、いつものイメージの洪水のような…

アンドレイ・タルコフスキー 監督「鏡」1587本目

「惑星ソラリス」「ノスタルジア」etcのロシアの巨匠タルコフスキー! 銅像の静止画の「モスフィルム」の冒頭からワクワクしてきます。難解というか、単純な理解(見た人がわかったような気になること)を求めてない映画なので、断片的な記憶を私たちは追体…

アラン・レネ 監督「二十四時間の情事」1586本目

1959年、日仏合作映画。 ずーーーっと見たかった作品。ツタヤの宅配レンタルでは扱ってないけど、店舗にはあったので借りてきました。 なんで見たかったかというと、すごく好きな映画「愛、アムール」の老夫婦の妻の方がこの主役のエマニュエル・リヴァだか…