映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

深作欣二監督「バトル・ロワイアル」133本目

2000年作品。もう12年もたったってことが何より驚き!

怖い映画は苦手だけど、先日思いきって「悪の教典」を見たことで、これを見る勇気が出ました。追悼・深作欣二ということは、特に考えてませんでしたが。

ひとことでいうと、あっちは快楽殺人で、こっちはこども達が死ぬということの空しさがテーマだ、という気がします。公開当時は悪徳の極みのように言われたけど、今比べてみるとむしろこっちのほうが教育的な正しい映画のようにすら思えます。情緒ってものがあります。

細かいところを見ていくと、「悪の教典」もそれぞれの生徒の性格がよく描けてると思ったけど、こっちはさらに強力ですね。なにしろ教師役がビートたけし。残酷なのか熱いのかよくわからない感じ。ぴったりです。
藤原竜也って年齢不詳だけど、やっぱり今よりは幼い。柴咲コウは若いころの梶芽衣子みたいでキレイコワイ。栗山千明はとても美しく、ヨゴレすぎてない・・・タランティーノがほれ込む気持ちもわかります。山本太郎の熱い人間味あふれるキャラクターは、見ていて普通の、大義名分のある戦争映画のようでちょっとほっとします。(しかし明らかに大人で、中学生というのは無理がある・・・)一方で安藤政信は機械のような殺戮マシンに徹します。これはこれで、この映画に必要なキャラクターです。
技術に強い子を演じる塚本高史が手にしてるのは、むかし本当に過激派が使った爆弾マニュアル「腹腹時計」ですね・・・なおさら、反社会派のオトナが作った映画の匂いがします。前田亜季はほんとうにかわいい。ブレない真面目少女でなければならないところをよく演じています。

で、なんだろう、こっちの映画の死んだ子たちのからだには、どこか特攻隊のようなむなしさ、“仕方なさ”を感じます。なぜでしょうね。「悪の教典」のほうには、打ち捨てられたおもちゃのようなむごさと愛らしさ(というと変ですが)を感じ、なおさら“快楽殺人”の色合いが濃いのです。

怖い映画は、劇場でみんなと見るほうが怖くない・・・と思ってたけど、真っ暗で身動きが取れないところに閉じ込められて見る方が怖いですね。こうやって家でいろんな情報をググりながら見るほうがいいや!・・・これならほかの映画も見られるかも。ということで、いままで避けてきた映画見てみようかな!シャイニングとか呪怨とか・・・。以上。