マジック・リアリズムって言葉がありました。そういう、現実を緻密に描きながらふっと人が空を飛ぶ、みたいな世界がすごく好きで、そういう自由が許されるのがフィクションの最高の楽しさだと思っているので、こういう映画には弱い!人間が中心にあって、「ヒーロー俳優だった男が終わりに向かって加速していく映画」なのですが、加速を続けて最後に終わる、のではなくて、加速しつづけても永遠に終わりには到達しない(なにかの数式みたい)感じの終わり方。苦い現実から逃避するのではなく、苦さだけを想像力でふわっと包むような。
マイケル・キートン素晴らしい。この主役以外の人生があると思えない。エドワード・ノートンはやっぱり濃いけど、意外にヒューマンな役。エマ・ストーンはちょっとワルくて可愛い。で、似てるけどまさか!と思ったハングオーバーのザック・ガリフィアナキス が、主人公の弁護士役!誠実だけど欲もある役をすごくよく演じていてびっくり。
飛行機の中で見たんだけど、行きで見終われなくて帰りに頭から見直したりしたので、機内にしてはじっくり見られてよかった。勝手なイメージなのかもしれないけど、中南米の監督って人間の裏も表も知って受け入れる懐の広さを感じさせるな、と思っています。このテーマのこの映画を、ここまでじっくり描きつつ、ちゃんと「面白く」できるのってすごい!