ヴィム・ヴェンダースが製作に入っていて、彼の映画の脚本で見かけるピーター・ハントケが監督。そして、かなり若いブルーノ・ガンツの出演作品です。1977年。統一が1989年だからまだ完全に「西ドイツ」の時期の作品です。
だけどなんとなく北欧かロシアの映画みたいに画面が暗い。レストランなんて、灯火統制か燃料不足かと思うほど真っ暗です。
まだちょっと脂ののったブルーノ・ガンツ。「西」ドイツから北欧に仕事で長期出張をしてやっと帰ってきて、妻=左利きの女に、「絆を確認して、逆に君のいない生活を試してみたくなった」と言います。左利きの妻は「啓示を受けたから別れよう」という謎の宣言をする。子どもたちと退屈な日本映画を見に行く(家族で「おちゃらかほい」をやりながら泣いていた女がやがて微笑む、というのを延々見ている)。謎な静けさが、あれ、アキ・カウリスマキの映画だっけ?これ笑うところ?という不思議な既視感を伴います。小津安二郎の写真が壁に飾ってある場面があるところから考えても、この日本映画は小津の初期の作品だろうなと想像します。
ジェラール・ドパルデュー、どこに出るのかと思ったら、妻が電車に乗ろうとする駅でした。一瞬!(でもちゃんとクレジットされてるから気づいた)
左利きの女というタイトルは、ある意味マイペースで頑固だけど迷わない強い女性というイメージなんでしょうかね。さらっと終わってしまう映画でしたが、カティ・オウティネンに代わってエディット・クレヴァ―が無表情のいい演技してたんじゃないかなっと思います。