映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

衣笠貞之助 監督「狂った一頁」2702本目

1926年の作品。まあなんと昔の映画。昭和の初めです。精神病棟らしい、窓にパイプの入った小さい個室で、いかにも狂女然とした人たちが狂態をさらしています。音楽はあるけど台詞はない。サイレント映画だけど、画質が悪いことを除けば少しも古さは感じません。平成になってからレトロ感を演出して作られた、実験的映像作品みたいです。

「戦艦ポチョムキン」の乳母みたいな丸メガネの看護師、「カリガリ博士」みたいなコントラストの強い白黒映像。…でもストーリーは解説を読まないと全然わからなかったな。この映画を大衆映画館にかけて黒字を目指すのは、どんな大正デモクラシーでも難しいと思う。

それにしても刺激的な映画でした…。