映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

カリン・ペーター・ネッツアー 監督「私の、息子」819本目

ルーマニアの映画なんだ。
強烈な家族愛、ジャイ子的存在感の母親は、世の中のルールも押しと金で変えてしまおうとする。
息子は30歳すぎても、ますます殻にこもるばかり。

このタイトルの「チャイルドポーズ」は、ヨガで激しい動きのあとに行う、足だけ正座したうつ伏せの”休め”の姿勢のことですよね?。体を丸めて、胎児のような体勢をとる。激しくののしりあう家族たちも、心の奥に繊細な子供がいて、うんと傷ついて丸くなって泣いている…。怒ってばかりいる母が、事故で死なせてしまった子の家で話をする中で、改めて息子のことを理解しなおす。息子も最後に車(彼の心の殻?)から泣きながら出てくる。

それが親子の愛情なのか。
日本の映画だと、このあと母親が「買収しようなんて言った私がバカだったわ」というような流れになるんじゃないか?
黒木瞳森山未來とかで、すごいどろ〜っとした感じの映画になるんじゃないか?
この映画が少なくとも湿度低めに仕上がっていて、積み重ねて最後に感情が溢れるという構成で成功するのは、やっぱりこれが非アジアの映画だからだという気がします。