映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ピーター・ソレット 監督「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」3335本目

ジュリアン・ムーア演じるローレルは敏腕警官で、オフのときにバレーボールをやってる。相手チームにいるステイシー(エレン・ペイジ)が試合後に話しかけてきて一瞬「あれ?」と思うけど、彼女の態度が普通に”いいなと思う子の番号を照れながら聞く”なので、そうかそういうことか、とするっとわかる。エレン・ペイジって「ローラーガールズ」でも「インセプション」でも、ナチュラルで素直な感じが好印象でした。今はエリオット・ペイジと名乗ってるのか…。レズビアンよりトランスジェンダーのほうがぴったりくる人だったのね。2021年には手術も受けて、かなり男性的になっている。これが本来の自己イメージだとしたら、女の子っぽい自分が嫌だったのかな。

主役の二人の俳優の力で、ローレルの強さとやさしさ、ステイシーの素直さと活発さが迫ってきますね。あれよあれよという内に、LGBT団体が動き出して巻き込まれて…という動きも、実際ありそうで、当事者たちのきょとんとした感じがちょっと可笑しい。ひたすら誠実な同僚マイケル・シャノンの男気もいいし、スポークスマンのスティーヴ・カレルもうまい。問題が立ち上がった後、現状を実際に変えるのにはかなりの人数とパワーと時間が必要だけど、なかなか変わらないうちに弱っていくローレル。

エンドロールで本物のローレルとステイシーの姿を見て、ちょっと涙ぐんでしまった。私たちはどんなときも、愛し合うものたちがみんな幸せでいられることを目指していかないといけないと思う。どんなに大変でも。