映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

リチャード・レスター 監督「ジャガーノート」3987本目

「ジャガーノート」って元はヒンドゥー語で、ヴィシュヌ神の化身のひとつ、破壊をもたらす強烈な力をもつものらしい。英語化しているらしいので、こんな人から電話をもらったら不吉です。船の名前が「ブリタニック」なのも、タイタニックを思い出して不吉。冒頭に若きアンソニー・ホプキンスが映り、反射的に「犯人はこいつです!」と叫びそうになるのを抑える。(「羊たちの沈黙」は、これよりずっと後)

この監督の作品は「ビートルズがやって来る ヤア!ヤア!ヤア!」しか見てないや。これは1974年の作品。タワーリング・インフェルノを思い出すなと思ったら、同年の作品でした。あっちには華やかなスターがいるけど、こっちはもっと地味な技術者たちが中心。プロの仕事にとりかかる男たちが、一人、また一人、と荒波や爆発にのみこまれていきます。なんか硬派な映画だなぁ。

ほかの俳優を見ていくと、オマー・シャリフは威厳があって二枚目だけど緊迫感がいまひとつ。爆弾処理の達人リチャード・ハリス(パイプをくゆらせてるのが時代。爆発物を扱う人なのに)は今はまだちょっとヤマっ気があるけど、その後おだやかな表情のダンブルドア校長となるのだ。個人的には、ガキを救って爆死するインド系のスタッフが気の毒でなりません。ガキがバカで腹が立ちつ…(あけすけな物言いですみません、全視聴者を代弁したつもり)

赤と青の、動脈と静脈みたいなビニール線のどっちを切るか?…ここに至るまで、すべてに既視感がなんとなくあるのは、実際に過去に意識せずにテレビ放送とかで見たかもしれないし、舞台が船じゃないだけで、リメイクかと思うようなテレビドラマがいくらでもありました。おそらくこれが元ネタなんだろうな。新鮮味は今みるとないけど、逆に安心して映画の良さをじっくり楽しめます。これが基本で王道。やっと見られてよかったです。