映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ツイ・ハーク監督「ノックオフ」451本目

1998年作品。
B級だってわかってるけど。私の大好きな「スパークス」関連の映画特集をやってみます。
この映画は、ロン&ラッセル・メイル(マエルではない)兄弟=スパークスが音楽を担当しています。1988年の彼らのアルバムの中に「ツイハーク」って曲があるんだけど、その流れで音楽をやることになったのかな。

ノックオフというのは模造品、パチもん、という意味。この映画は、アメリカ映画なんだけど舞台が香港(返還直前)で監督も中国人、アクション監修があのサモ・ハン・キンポーということで、マンガ的香港映画の世界です。食料品店にトラックが突っ込んで、主人公食べ物まみれ、みたいな。タランティーノとかこういうの好きそう(違ってたらすみません)。そういう世界の中に唐突にハリウッド俳優が紛れ込んでいるような不自然さがあります。

トミー役のロブ・シュナイダーが、キャラも顔立ちもなんとなく大泉洋に似てる…。

音楽は、さすがというべきか、意外と、良いです。テーマ曲も洗練されているし、それ以外の部分も、ちょっと画面を格調高くしている気がします。

トラックがひっくり返るとか、すんでのところで人が逃げ出すとか、大きなアクションはいいんだけど、引くところを引いてメリハリをつけるとか、見る人の心理を読んで画面作りをする、といった“ズル賢い”演出がなくて、とてもシンプルな週刊マンガ的映画で終わっている気がします。週一回の刑事ドラマとしてなら、充分楽しめそうです。

しかし、店壊したり車爆破したり、けっこうお金使ってるなぁこの映画…。
(悪役はロシア人なんだけど、アメリカと中国人監督が組めば、まあそうなるよな。)