映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロバート・クローズ 監督「燃えよドラゴン」763本目

もちろん見たことあるけど、改めて見ました。
ブルース・リーという素晴らしい生き物を記録に残す上で、貴重な映画だと思いました。
映画の作りそのものは、B級以外の何ものでもないけど…。
しかも、スピリチュアルな雰囲気を漂わせる仙人めいたアジア人(しかも中国人)が、欧米人やアフリカ系アメリカ人をどんどん倒していって、アジア人が統治する世界の首謀者を倒すという。アメリカ人の監督が、英語で作った映画だけど、一部の欧米至上主義者から見ると違和感があったのでは、と心配になってしまいました。

ブルース・リーという人の風貌は、典型的なイメージ通りの中国人とは違うように思います。wikiによるとドイツ人のクォーターらしいけど、漢民族じゃないチベット系の人かなと思いました。より仙人めいたイメージ。アメリカのチャイナタウンで生まれたけれど香港で育った彼は、その後唐突に渡米して、なんとシアトルのワシントン大学で哲学を学ぶ。そこで道場を開く。もう、どう捉えたらいいのかさっぱりわかりません。何の類型にも当てはまらない経歴。急激にもたらされた名声。わずか32歳で迎えた死。彼は夭逝したからレジェンドになったんだろうか?

その後のジャッキーチェン映画も、カラテキッドも、スティーブン・セガールの出演映画も、もっとずっとアジアンテイストはマイルドになっている気がします。B級娯楽映画の中で、尖りすぎていたブルース・リーの存在感。
すごいもの見せてもらいました。