映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヴィクター・フレミング監督「風と共に去りぬ」499本目

1939年、初期のカラー作品ですが、ものすごく絵がきれいです。冒頭の風景もすごいし、どこを取ってもドラマチックで美しい絵ばかりです。しかしこの美しさは…クリスチャン・ラッセンの絵にも似ている。ちょっと書き割りっぽい。

舞台は1861年〜1865年、南北戦争アメリカ。映画が撮られたのはその74年後の1939年、いまは映画が撮られてから74年。映画のリアリティって、やっぱり時代が近い方が強く感じる気がします。しかし原作が書かれたのが20世紀だなんて信じられない。(映画が作られたわずか3年前、1936年)18〜19世紀のアメリカ文学でしょう??

スカーレットの高慢ちきなお姫様っぷり、いや〜な感じ。召使いの黒人の女の子がうっかり者でおばかだという設定も、いや〜な感じ。どーも好きになれない。レット・バトラーも、押し出しが強いけどなんともいやな男。スカーレットに徹底的に愛される男アシュレーは、真面目で賢い男のようだけど,影が薄い…。アシュレーの妻メラニーは、愛情あふれる優しい女性だけど、南部の女はそれでも敵をやっつけることを恐れない!(多分牛や鶏を殺すことも恐れない)

これを「古き良き時代」と呼べる人たちが、今もアメリカの軍隊を敵地に追いやるのかしら…。

最後にレットを愛してたと気づくスカーレットは哀れだけど、結局のところ土地(仕事)以上に誰も愛せない女だったんだな…。なんかすごい映画だったけど、胸の中にさわやかじゃないものが残るなぁ。。。