この映画、好きだったな。方向音痴のタクシー運転手に「月はどっちに出ている?月の方に走ってこい!」って、事務所の人が指示を出すの。ちょいちょい、場面切り替えにこの運転手が出てきては、アサヒビールの金のオブジェやら、富士山やら、迷いようのない場所から電話をかけてくる。
「俺ぁ、朝鮮人は嫌いだけど忠さんは好きだ。」っていつも言ってるパンチドランカーの同僚から、何を言われても受け留めてやる忠さん=岸谷五朗の友情みたいなものも、好きだった。馴れ馴れしく話しかけといて、料金を踏み倒そうとする小心なサラリーマンと、豪速で追いかけてお金を出させておいて、ちゃんとお釣りを払う忠さん。
ルビー・モレノってスリムで可愛いな、こんな風に明るくてストレートな性格だったらなーと当時思ってた。今見ると関西弁は棒読みだけど、勢いがあってやっぱりいいです。この頃は、日本にいる半島や大陸の人たちと、出稼ぎにきた東南アジアの人たちの、こんな物語がもっと普通に増えていくのかなと楽しみにしてたけど、30年たってもそれほど増えないのはちょっと残念。
女好きで楽天的な忠さんの人柄がいいんだよな。経営者も含めてみんな金もないしロクなことがないけど。
「xx人は嫌いだけど〇〇さんは好きだ」…この頃の外国人観はこんな感じだったんだ。今はもし友達がいたとしても「〇〇さん以外のxx人は嫌いだ」みたいになってしまって、こんなことを口にすることもなくなった。
やっぱり好きだな、この映画。いろんな国から来た人たちがごちゃごちゃ暮らしてる町で暮らせたらな…。
エンディングテーマは、これも好きな憂歌団。この頃はまだ憂歌団が活動してたんだな。その後活動停止、再結成。そのうちもう一度ライブが見られるかな…。