映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2018-01-01から1年間の記事一覧

D・W・グリフィス 監督「散り行く花」1981本目

今見られる映画の中でも最古の部類に入ると思われる、1919年の作品。ワクワク。 最初のしばらくは上海の本物の情景が続くので、どこの映画だっけ?と思いますがアメリカ映画。彼らはこの街を当時こんな風に見たんだな・・・。エキゾチックな美しさと賑やかさ…

森一生 監督「ある殺し屋」1980本目

1967年の作品。 うっかり続編「ある殺し屋の鍵」の方を見てしまったんだけど、こっちの方が評価が高いようなので、やっぱりこっちもレンタル。 不思議な魅力がある映画ですね。大映映画の暑苦しさが、市川雷蔵と成田三樹夫の涼しさで中和されていて、なんか…

エリック・ロメール監督「木と市長と文化会館 または七つの偶然」1979本目

フランス人って議論好きなのかな〜。 私がよくわからなかった「緑の光線」も、なんとなく”頭でっかち”な女の子がわだかまる映画だったけど、この映画でもあーだこーだとみんなそれぞれの理屈をこねたり、上手いことやろうとしたり、自然派だったり都会派だっ…

リュック・ベッソン監督「レオン」1978本目

何回も見たはずなんだけど、冒頭の、マチルダのチャラい家族の日常の場面を忘れてたし、悪徳警官はゲイリー・オールドマンじゃないですか。目が離せなくなって、最後まで見ちゃいました。 ナタリー・ポートマンは、当時もずいぶん言われただろうけど、「タク…

ハイアム・ジョーンズ監督「カプリコン・1」1977本目

面白いし、怖い映画ですね。 NASAが当初は協力すると言っておきながら、途中から拒絶したとか、イギリスで最初に上映されたとか、因縁たっぷりの映画です。これを見て誰もがアポロ11号がフェイクだったという、まことしやかな噂を思い出すわけですよね。(し…

キャロル・リード 監督「華麗なる激情」1976本目

1965年のイギリス映画。原題は「The Agony and The Ecstasy(苦悩と恍惚)」です。 冒頭10分間ほどミケランジェロの生い立ちについて語る部分が、ほぼ「日曜美術館」。だったら邦題は「ミケランジェロ〜その苦悩と恍惚〜」でよかったんじゃないか。その後タ…

ジョー・ライト 監督「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」1975本目

ほんとだ、ゲイリー・オールドマンが太っちょの老人のチャーチルを演じてる。(ご冗談を!若い頃にシド・ヴィシャスを演じた男ですよ!)こんなおじいさんになってから首相に就任したの?可愛いタイピストはリリー・ジェームズ、「ベイビー・ドライバー」の…

ロバン・カンピヨ 監督「BPM ビート・パー・ミニット」1974本目

ジャケットしか見てなかったので、元気なヨーロッパのゲイの人たちの映画(例「パレードへようこそ」)かと思ってたら、「エイズ」が一番恐ろしかった時代の映画だった。 しかも、前半はACT-UPという活動団体の活動を描いた映画だと思っていたけど、やがて積…

ロバート・ワイズ監督「アンドロメダ…」1973本目

ロバート・ワイズって、「市民ケーン」を編集し、「ウエストサイト物語」と「スタートレック」とこの映画を監督した人なの。幅広いなぁ!で、原作は「ジュラシック・パーク」のマイケル・クライトン。 なかなか緻密に作られたSF映画ですねー。 2018年の私た…

チャン・フン監督「タクシー運転手 約束は海を越えて」1972本目

「タクシー・ドライバー」といえばクレイジーなロバート・デニーロ・・・を思い出すけどこの映画の最初はのんびりしてます。ところがそれば、だんだんと信じられない事態へ。軍事政権下の韓国南部の広州という田舎町で、一般市民による民主化デモが起こり、…

ブノワ・ジャコー 監督「エヴァ」1971本目

怖いもの見たさ。イザベル・ユペールが出てる映画は、つい見てしまいます。ましてや今回、「たかが世界の終わり」で惚れてしまったギャスパー・ウリエルにまた逢えるとなれば・・・。 しかしイザベル・ユペール65歳、いつまで官能的な役どころをやり続けるの…

平栁敦子監督「オー・ルーシー!」 1970本目

面白くはあるけど、「予想通り」の枠を超えることはなかったなぁ。 設定を見ただけで結末までだいたいわかってしまう。何も知らずに見るのが一番いい、予告編まで見てしまったのは失敗だったけど、それにしても予想がつきすぎてしまう。やっぱり私は、映画に…

白石和彌 監督「孤狼の血」1969本目

ちょっと期待しすぎたかもな。。新作を旬なうちに見るのって、ワクワクするような前評判で頭がいっぱいになってしまって。 ストーリーより、豪華な役者陣の極悪演技をつい楽しんでしまう映画です。役所広司は安定だけどやっぱり凄みがあります。松坂桃李は何…

エリア・カザン「ラスト・タイクーン」1968本目

エリア・カザンの遺作だし、主役が若きロバート・デニーロだし、ロバート・ミッチャムだのジャンヌ・モローだの、ほかにも名前はわからないけれど見るからにレジェンドな人がたくさん出演しています。これはフィッツジェラルドの小説の主人公が、実在の早逝…

エミール・クストリッツァ監督「ジプシーのとき」1967本目

この監督の日本公開2作目だけど、最初の「パパは、出張中!」 ですでにパルムドールを取ってるので貫禄たっぷり。そしてそのあとの監督の映画世界にとって重要なジプシーの世界との出会いでもあります。 彼らの暮らしの私たちとの違いは、「貧しさ」とか「…

ラケシュ・ロシャン 監督「クリッシュ」1966本目

インド製のマーベル風スーパーヒーロー映画。 これって続編?じゃなくて原題は「クリッシュ3」。1と2はどこへ行った? 冒頭に、クリッシュというスーパーヒーローのようなものの誕生について、3時間を10秒み無理やりまとめたような「まとめ」が流れます…

ジル・ミモーニ監督「アパートメント」1965本目

フランス語の映画なので、タイトルは「ル・アパルトマン」にしてくれた方が、フランスっぽかったんだが・・・。主役はヴィンセントではなくヴァンサン・カッセルなのに。 男ストーカーと女ストーカーの映画。アリスは感情の起伏が激しいというより、何が何で…

関口現 監督「SURVIVE STYLE 5+」1964本目

映画中毒の私は、またTSUTAYA宅配でMax16枚を借りて、嬉しそうに1枚1枚見たわけですが、これが一番面白かった。大笑いするし、成り行きが全く予想つかないし、オシャレだしセンスがいいし下らないし。 変な映画、どう変かというとポップでキッチュでカラフル…

新藤兼人 監督「ふくろう」1963本目

新藤兼人の映画を見るの、久しぶり。 <ネタバレあります> この映画は割と晩年の作品。内容は1964年の「鬼婆」の舞台を変えたものなんだけど、こっちは現代劇でコメディ。社会風刺なのか?なかなかアクの強い役どころの大竹しのぶ、飢えそうになっていたの…

マシュー・パークヒル 監督「dot the I/ドット・ジ・アイ」1962本目

ガエル君の出てる映画をかたっぱしからリストに入れた時のだ。なんてオシャレな映画でしょう。すごくチャーミングな彼女が、なぜかダークスーツにつけ髭。これがまたドキッとします。そんな彼女に事故のように「独身最後のキス」の相手として選ばれたのがガ…

ジム・シェリダン 監督「マイ・レフト・フット」1961本目

1989年のイギリス映画。・・・ここまで聞いて私はきっとサッカー選手の「黄金の左足」の映画だと思いました。全然違った! この映画でのダニエル・デイ・ルイスの演技がすごいって聞いてたけど、本当にすごい。「バリバラ」のおかげで脳性まひの人たちがワル…

ジム・ローチ 監督「オレンジと太陽」1960本目

ジム・ローチは、社会派映画で有名なケン・ローチ監督の息子だそうです。 この映画もお父さんの映画と同様、隠されてきた過去のイギリスの真実を描いていて、胸をえぐられます。エミリー・ワトソンやヒューゴ・ウィービングといった実力のある俳優たちが、感…

デヴィッド・クローネンバーグ 監督「イースタン・プロミス」1959本目

クローネンバーグ監督ってすごく奇妙な映画を撮る監督ってイメージだったけど、この映画の次に作った「危険なメソッド」はむしろクラシックな映画だった。この映画も、厳しい環境にさらされた人々を冷たくも甘くもない視線で見守る映画でした。 ナオミ・ワッ…

森一生 監督「ある殺し屋の鍵」1958本目

1967年の作品。 同年に「ある殺し屋」という映画が公開されてて、これはその続編らしい。見る順番間違えたー。 気を取り直して。市川雷蔵の現代劇って「炎上」くらいちょい昔が舞台のものしか見たことないのでドキドキします。オープニングがまるで「ウルト…

ジュリア・ロクテフ 監督「ロンリエスト・プラネット 孤独な惑星」1957本目

ガエル・ガルシア・ベルナル君と彼女が旅しているのは地球の上のどこだろう?ジョージアかな(アメリカの州じゃなくてコーカサス三国。元「グルジア」)。通貨単位が「ラリ」だし、ありがとうが「ガーマルチョパ」だし。だいぶ進んだところでガイドが「グル…

ジョージ・フィッツモーリス 監督「マタ・ハリ」1956本目

1931年の作品。伝説的なダンサーであり、第一次大戦中はスパイであったとされているマタ・ハリは何度か映画化されているようですが、これはかの大女優グレタ・ガルボが主演。本物のマタ・ハリはインドネシア舞踊ふうのオリジナルの舞を蠱惑的に踊ったけれど…

アントニオ・マネッティ 監督「宇宙人王(ワン)さんとの遭遇」1955本目

2011年のイタリア映画。イタリア?? なかなかの珍品ですね・・・。邦題に「宇宙人」「王さん」とあるので、中国語圏か、せいぜい国内で作られた映画だと思いました。イタリア人がなぜこんな映画を作るのか・・・。モンティ・パイソンのスキットに「我愛中国…

グレゴリー・ホブリット 監督「真実の行方」1954本目

なるほどの演技力、エドワード・ノートン。これデビュー作なんでしょう?私はこの映画の結末のことは知らずに見られてラッキーだったけど、エドワード・ノートンの演技力や、彼がやりがちな役どころをよーく知ってるのは、残念だったかも。映画の結末もノー…

オーソン・ウェルズ監督「上海から来た女」1953本目

オーソン・ウェルズの、オーソン・ウェルズによる、オーソン・ウェルズのためのオーソン・ウェルズ劇場なのですが、独特の古めかしい耽美の世界があって一種の美しさがあります。でも彼の美学は見た目に徹底的にこだわるというより、リタ・ヘイワースという…

スチュワート・ベアード 監督「追跡者」1952本目

先の「逃亡者」の「スピンオフ」だそうです。追うものは前回に続いてトミー・リー・ジョーンズだけど、 逃げるものはハリソン・フォードじゃなくウェズリー・スナイプス。で監督が違います。こっちは続編の呪いを払拭しようとしているのでしょうか、冒頭から…