映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2018-01-01から1年間の記事一覧

ソフィア・コッポラ監督「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」2009本目

ソフィア・コッポラは 親のお膳立てでつまらない映画を作り続けてるのか?彼女は山村紅葉なのか、蜷川実花なのか。お膳立ては相当あったのかもしれないけど、少女のいやらしい妄想をひたすら追求し続ける姿は、まさに蜷川実花だと思う。好き嫌いは別として。…

スティーヴン・フリアーズ監督「マイ・ビューティフル・ランドレット」2008本目

「あなたを抱きしめる日まで」と同じ監督だ。知らずに一緒に借りてた。タイトルは「僕の素敵なコインランドリー」かな。発音はランドレットより「ローンドレット」の方が近い? パキスタンってインドの西で、名前がオマールってことはイスラム教の国か。(東…

マッティ・ベッカーマン 監督「エリア0<ゼロ>」2007本目

ひとことで言うと、ブレア・ウィッチ・プロジェクトの宇宙人アブダクション版。でも「カメラを止めるな!」の仲間、という感じもします。この映画で「おおっ!」と思ったのは、<以下ネタバレ>最後に”自閉症の少年”がカメラごと引っ張り上げられて大気圏を…

木下恵介監督「わが恋せし乙女」 2006本目

そうか、このタイトルは「私が愛した少女」という意味か。公開されたのは1946年10月、まさに戦争が終わってまもない日本だけど、この映画の舞台は、都会的な子どもたち、長じて男女が馬に乗ったり寝転んだりして、楽しく歌いあそぶ美しい山あいの風景。アル…

スティーヴン・フリアーズ 監督は「あなたを抱きしめる日まで」2005本目

レジェンド、ジュディ・デンチが「瞼の母」をやるらしい(昭和それも初期のことばだな)という予備知識だけで身始めました。でも、 もしかしてこれは・・・先月見た「オレンジと太陽」と同じテーマか?(そっちはイギリスからオーストラリアに強制労働に出さ…

新藤兼人監督「石内尋常高等小学校 花は散れども」2004本目

新藤監督95歳のときの作品。 「午後の遺言状」は好きだけど「一枚のハガキ」はキツかった。この映画もそれに近いものがある。トヨエツと大竹しのぶは小さい頃の二人と容貌が違いすぎるし、だいいちちっともお似合いに見えない。 子どもたちが声を合わせてわ…

熊井啓 監督「海と毒薬」2003本目

予想と違う、おどろおどろしい始まり方。作ってる人が全然冷静じゃない感じ。こんなに重いテーマなのに、雰囲気重視の怪奇映画みたいだ。ゴケミドロだ。奥田瑛二も大学生?というくらい若いとはいえ1986年なのに(渡辺謙も若い) 、白黒なのでまるで第二次大…

ナンニ・モレッティ 監督「息子の部屋」2004本目

ロバート・レッドフォード「普通の人々」を思い出すな。他にもいくつか、普通に過ごしてた家庭で息子が亡くなる映画を見たことがある気がする。でも比べる気にはならない。ただ一緒に悲しくなって、家族が怒鳴りあったり傷つけあったり、バラバラになったり…

ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ 監督「マクナイーマ」2003本目

1969年にブラジルでこんな映画が作られてたとは! 欧米が知らなかった民族が初めて発見されたかのような衝撃です。老婆から生まれた、大人の男の姿をした神話的子ども「マクナイーマ」、強いていえば昔「ひょうきん族」に出てた「アダモちゃん」のようです。…

野村芳太郎 監督「真夜中の招待状」2002本目

この映画を借りた理由は・・・多分、昔わりと好きだった小林麻美のことを思い出してみたかったからかな。みてみたら、綺麗だし少女っぽくてすごく可愛いですね。幼い頃の私が憧れたのは、少女マンガの主人公みたいに彼女が可憐だったからなんだな〜。 いつも…

ロジェ・ヴァディム監督「バーバレラ」2001本目

うわ〜。何このオープニング!未だかつてないな、これ。 防音用みたいなフェルトを厚く張った室内に、ルノアールの絵や彫像が飾られている。が、そこはなぜか無重力空間。外から戻ってきたばかりの宇宙服の人間がまず手袋を取ると、しなやかで美しい女の手。…

増村保造 監督「くちづけ」2000本目

1957年の作品。 ジャケットのバイク二人乗りの写真、「ローマの休日」を思わせますね。すでに交際中だったという川口浩と野添ひとみの、瑞々しい演技がまぶしい映画です。 可愛くてスリムでどこか上品で、竹を割ったようなストレートな性格。この映画の野添…

スティーヴン・ソダーバーグ監督「セックスと嘘とビデオテープ」1999本目

ソダーバーグ監督の初長編作品。1989年ってもう30年前ですね。 この監督の作品って意外とちゃんと見てないんだけど、アクション映画が多いイメージがあるので、この映画みたいな人間どうしのせめぎあいのドラマはちょっと意外。 「ビデオテープ」がスマホの…

オットー・プレミンジャー監督「カルメン」1998本目

1954年、主演のハリー・ベラフォンテが「バナナ・ボート」を世界的に大ヒットさせる2年前の作品。 「カルメン」を全員黒人の舞台にした「カルメン・ジョーンズ」の映画化だそうです。だけど、音楽は昔ながらのビゼーのカルメンのクラシックのままなので、せ…

ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督「クレオパトラ」1997本目

1963年のアメリカ映画。だけどアメリカという国がまだない頃の、ヨーロッパ、アフリカ、中東のお話だし、主役のクレオパトラ(エリザベス・テイラー)もカエサル(レックス・ハリソン)もアントニウス(リチャード・バートン)も教科書みたいなクイーンズ・…

ミゲル・ゴメス 監督「熱波」1996本目

なんか好きです、この映画の空気。 私はこういう、静かに情熱を秘めた感じの映画に弱い。事実をきっちり積み重ねておきながら、アフリカの人の「予言」が当たったり、理屈で説明できない恋に溺れたりする。人間だなぁ、って思う。 よく考えると、大したこと…

クァク・キョンテク監督「タイフーン TYPHOON」1995本目

2005年の韓国映画。これはまたハードなスパイ映画って感じですね。と思ったら海賊伝説の映画(NHKBSでやってた「チャングム」みたいな世界)のような趣もあり。盛りだくさんだけど複雑です。 チャン・ドンゴンって久しぶりに思い出しました。ちょっと香港の…

フェアリーテール・シアター「ロビン・ウィリアムズとエリック・アイドルのカエルの王子さま」「クラウス・キンスキーとスーザン・サランドンの美女と野獣」1994本目(KINENOTEになし)

タイトル長い! 「シャイニング」でおののいていた姿が知られるシェリー・デュヴァルが製作総指揮を務めた「フェアリーテール・シアター」というテレビシリーズのDVD。この他にも気になる回がたくさんあるけど、まずこれを借りてみました。 カエルの王子様は…

クリストフ・バラティエ 監督「コーラス」1993本目

暗いというか、光が足りないヨーロッパ的な画面。日照が弱いのかなぁ。 「池の底」っていう名前自体がひどい、フランスの子ども用寄宿舎。冷た〜い空気が蔓延するその場所に、見るからに愛嬌のあるおじさん教師が赴任してくる。彼は自分が書いていた曲を彼ら…

リチャード・リンクレイター監督「スクール・オブ・ロック」1992本目

ツッコミどころエンターテイメントといっても過言ではないような・・・(笑) 誰かが鼻歌ひとつ歌っても学校じゅうに響き渡るのが教室の防音レベルだよね、から始まり、後述の「iCarly」をはじめとするテレビドラマっぽい軽〜いギャグが続きます。なんとなく…

「エヴァの匂い」1991本目

先日イザベル・ユペール&ギャスパー・ウリエル版を見たら、これも見なきゃと思いました。 1963年に作られたこちらはジャンヌ・モロー31歳。高級娼婦イザベル・ユペール65歳はセクシーというより知的な魔女みたいだったけど、モローも意外と色っぽいって感じ…

ハロルド・レイミス 監督「恋はデジャ・ブ」1990本目

原題は、舞台となる記念日「グラウンドホッグ・デイ」(本当にあるんだな、そういう行事が)。「恋はデジャ・ブ」という邦題は、ループする1日を恋をしながら繰り返すという意味かな。間違ってない。 ジャケット写真を見たらトム・ハンクスの映画だ。こんな…

ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス 監督「リトル・ミス・サンシャイン」1989本目

KINENOTEでは「見た」人がびっくりするくらい多いし、評価もかなり高めだけど、思ったのと全然違ってた。不幸な家族を一人の少女が明るくする、みたいなストレートな感動作品か、フランスの映画みたいなじんわり感動する映画かと思ってたけど、アメリカの色…

ミッチェル・ライゼン 監督「ミッドナイト」1988本目

これはまた古い映画だ、1939年。クローデット・コルベールって見たことあるな、このぱっつん前髪・・・と思ったら1934年のフランク・キャプラ監督「或る夜の出来事」だ。 あっちでは大富豪のわがままな令嬢役、今度は文無しの役か。軽妙で愛嬌があって、頭の…

レナード・ニモイ監督「スリーメン&ベビー」1987本目

この映画のテーマ曲、グロリア・エステファンの「バッド・ボーイ」が好きで好きで・・・。今まででベストというくらい好き。実は当時この映画見てないんだけど、CMで流れてたこの曲だけが耳に残って、その後だいぶたってから映画も見た・・・という。 特にフ…

若松孝二監督「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」1986本目

怖い映画なのかな〜、とビクビクしながら見てみる。でも、みんな思っただろうけど、三島由紀夫と井浦新ってイメージ全然違うよね。三島のピシーッとした枢軸国軍のような雰囲気、形を極めるところから入る頭でっかちな感じと違って、井浦新は透明で感じやす…

アンリ・ヴェルヌイユ 監督「禁断の木の実」1985本目

ヴェルヌイユ監督の作品は、「地下室のメロディー」「ダンケルク」「ヘッドライト」と見てこれが4本目。この作品が一番古くて1952年、長編デビュー作なのかな。 主役は「フェルナンデル」・・・姓は?と思ったら、これが芸名のコメディアンだったんですね。…

ダニス・タノビッチ 監督「鉄くず拾いの物語」1984本目

「ドキュメンタリーみたいだけど違う。再現映像だ。だから映画としてはよくない」という感想が結構あるみたいですね。この映画が日本で上映されたのが2014年。クリント・イーストウッド監督が、事件の当事者たちに演技をさせた「15時17分、パリ行き」を…

オットー・プレミンジャー監督「或る殺人」 1983本目

なにこのタイトルのカッコよさ?ジャズ・トランペットのアンサンブル、幾何学的なイラスト。同じ監督の「バニー・レーク」みたい。ジェームズ・スチュアート弁護士がロードハウスでデューク・エリントンとピアノを連弾する場面も素敵だけど、本筋と関係なさ…

アラン・ロブ=グリエ 監督「グラディーヴァ マラケシュの裸婦」1982本目

最近のネットニュースで、この監督の作品が集中上映されるというのを見て興味を引かれたので、今借りられるのをとりあえず1本借りてみました。 やたらと「官能的」と書かれていますが、いやらしくもないし官能的とも思えず、アヘン窟みたいなゆったりとした…