映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アジア映画(90年代以降)

ラケシュ・ロシャン 監督「クリッシュ」1966本目

インド製のマーベル風スーパーヒーロー映画。 これって続編?じゃなくて原題は「クリッシュ3」。1と2はどこへ行った? 冒頭に、クリッシュというスーパーヒーローのようなものの誕生について、3時間を10秒み無理やりまとめたような「まとめ」が流れます…

ニテーシュ・ティワーリー 監督「ダンガル きっと、つよくなる」1941本目

140分があっという間。インド映画ってほんとに、飽きさせない。 でもさ!この映画ってすごくストレートにスポ根ものだね!あまりに真っ直ぐすぎて驚きました。ディズニーのお金が入ってるからなの?女の子は男の子より不利、でも強くなれば1番になれる、意…

S.S.ラージャマウリ 監督「バーフバリ 伝説誕生」1901本目

熱い、熱いよ! インド人って物静かで思索深く、知的で勤勉に職場では見えるけど、集まるとすぐ踊りだすような実態が掴めないところがあるのですが、こういう映画を見ると、奴ら暑苦しさを隠してるだけだな!と思う(いい意味で)(いや本当にインド料理もイ…

イム・スンレ監督 「リトル・フォレスト 春夏秋冬」1888本目

帰りのキャセイパシフィックの機内で見た1本目。 これって日本のマンガが原作なんだ!で、日本では2本に分けて映画化されてたんだ。 どうりでお好み焼きとか出てくるのね?でもてっきり韓国オリジナルの映画だとばかり思ってました。それくらい、韓国の山…

ロウ・イエ 監督「ふたりの人魚」1878本目

2000年、中国で中国人監督が撮った映画。 一人語りの感じや人魚のキッチュで可愛い感じが、ウォン・カーウァイ監督「恋する惑星」みたいじゃない? この女の子、ジョウ・シュン がすごく印象的。 少女みたいに可愛く、峰不二子みたいに悪女で、強くて柔らか…

ポン・ジュノ 監督「殺人の追憶」1832本目

2003年の作品。「グエムル」の3年前、「スノーピアサー」の10年前。 ミステリーというより暴力刑事ドラマでした。今では完全にアウト!(おそらく韓国でも)な、容疑者を殴る蹴る自白させる取り調べ。見応えがあったし、韓国の農村の暗い風景が忘れられない…

ラヴ・ディアス 監督「立ち去った女」1815本目

白黒でコントラストの強い、ルイス・ブニュエルみたいな映像。カトリック色の強いキリスト教会。なんかメキシコみたいだ。「エル」だな。4時間もあるというので、ところどころ1.5倍速で見たけどあまり違和感を感じなかった。そして、間が長くセリフも途切…

ピーター・チャン監督「最愛の子」1806本目

これは辛いなあ。 自分たちと違う文化圏の、遠い世界で起こっている特別な事件だなんて思えない。 世界中のどこの親も子供がいとしい。探して探して、疲れ果てても諦めきれず、仲間を募って旅立つ。 「みなさん、新しい子供を作らず、探し続けましょう」「十…

ペク監督「ビューティー・インサイド」1805本目

家で映画みるの、3週間ぶり。 このDVDもレンタルしたままずっと寝かせてしまい、今月のDISCUSは8枚まるまる残ってる。 そろそろ連休ムードを終わらせなくては。この映画は、韓流のロマンチックなドラマ(時代物より、「シークレット・ガーデンとか)みたい…

パク・チャヌク 監督「オールド・ボーイ」1759本目

2003年の韓国作品だけど、原作は日本のマンガなんですね。 この監督の作品は、JSAで初めて韓国的な情緒に触れてかなり感動したけど、「スノーピアサー」と「渇き」ではちょっと見疲れしました。見疲れって言葉があるのかどうかわからないけど。 「オールド・…

チョ・ソンホ監督「エンドレス 繰り返される悪夢」1705本目

去年の12月に日本でも公開したばかりの韓国映画。 この年末はアエロメヒコ航空を使ったのですが、13時間も乗るので新作映画みるぞー!という期待は完全スルーでした。これが日系か米系ならスターウォーズ見られただろうか…。で、実際に往復のフライトで見た…

エドワード・ヤン 監督「クー嶺街少年殺人事件」1642本目

1991年の作品なんだけど、レンタルはなんとVHSしか出ていません。 昨今のレンタルVHSの中で特に見づらいな・・・。字幕フォントの輪郭がぼやけてて、耳だけでは北京語はちっともわからないし、240分もあるし・・・。なかなか苦難の道のりです。まあまあちゃ…

ジャ・ジャンクー 監督「山河ノスタルジア」1568本目

チャオ・タオって綺麗で複雑で、いい女優さんですね。 同じ監督の「罪の手触り」が、好きな映画というのではないんだけど、とてもよかった。この女優さんは忘れられない一人になりました。 この映画の方が「罪の」より起承転結?で追いやすいんだけど、19…

ワン・ビン監督「三姉妹 雲南の子」1529本目

最近エネルギッシュな映画ばっかり見てたので、おじいちゃんの家に里帰りしたような何もない風景に一瞬引いてしまいました。ドキュメンタリーみたいだし、これは切なくなる心の準備が必要なのかな、と。 でも、なんかこの静かな絵が、心地よいのです。静かに…

クアン・プンリョン 監督「ブエノスアイレス 摂氏零度」1526本目

1999年、2年前に公開された「ブエノスアイレス」のメイキング的なドキュメンタリー映画が作られました。 「ブエノスアイレス」好きなんですよ。テーマ曲の「Happy Together」がなんともいえず楽しくて切なくて、まだ失恋も何も知らない、この先かならず傷つ…

チャウ・シンチー 監督「西遊記 はじまりのはじまり」1515本目

ライフ・オブ・パイと一緒にレンタルしてしまった。ずいぶん虚々実々な作品の取り合わせだ。まるでギンレイホールの二本立て!それにしても面白かった。主役の僧正玄奘を演じたウェン・ジャンは、親しみやすいユーモアたっぷりのイケメン(谷原章介っぽい?…

ジャ・ジャンクー 監督「罪の手ざわり」1499本目

2013年の中国映画。私の好きな意味で、とてもエモーショナルな映画。 想いがつのってつのって抑えられなくなる人間の弱さが、じわっと伝わって来ます。 オムニバス的なこういう構成は、どうしても気持ちが散ってしまって、あんまり得意ではないんだけど、誰…

Sunny Deol監督「Ghayal: Once Again」1480本目

インド版「ダイ・ハード」という感じの映画でした。1990年の映画(写真を見るとランボーっぽい)の続編らしい。KINENOTEデータベースにないようなインド映画を、なぜフィンランド航空の機内で上映してんだろう?不思議。インドでは、貧富の差やお金持ちが貧…

チャン・イーモウ 監督「あの子を探して」1446本目

中国のいなかの子どもたちが可愛い! わずか13歳の「代用教員」は、ほとんど生徒と同じ背格好。 勉強を教えるどころか、歌も最後まで歌えないし、先生としての資質や自覚もまだなんにもない。普通の子どもだ。(痛々しい気がするのと同時に、こういうとこ…

シュエ・シャオルー 監督「海洋天堂」1440本目

2010年の中国作品。 「天堂」って天国のことなんだ。 北野武的、泣ける抒情の世界、と感じました。 自閉症の大福くんの表情や演技は、なぜか?「道」のジェルソミーナみたい。 彼を残して逝かなければならない、真面目で愛情深い父親と、周囲の優しい人たち…

ホウ・シャオシェン 監督「黒衣の刺客」1423本目

わかりにくいような、逆に説明的なような映画。 ちゃんとセリフを追っていれば、インニャンが刺客だということや、彼女がかつて慕っていた男の事情もわかるんだけど、ちゃんと見ないでわかる映画じゃない。 すごく、すごーく間が長くて、その間美しい風景を…

イ・チャンドン 監督「ペパーミント・キャンディ」1371本目

<ネタバレ的なコメント> モニカ・ベルッチが出てた「アレックス」って映画みたいだ。一番悪い現在の場面から、少しずつ、少しずつ、時間を遡っていく。最後に映るのが、最高に幸せな瞬間・・・という構成。 アレックスでは、見ている自分も”実際は逆に流れ…

ウォン・カーウァイ監督「恋する惑星」1350本目

1994年の作品。 22年ぶりに見た、わけか・・。 おとぎ話みたいな、夢の中みたいな設定。 男性の一人語りで進む、あるいはちっとも進まない、ストーリー。役者さんたちも魅力もすごい。 「あのさ、パイナップル、好き?」と話しかける金城武の甘い声、まだ少…

ウォン・カーウァイ 監督「花様年華」1305本目

2000年の作品。香港もう中国に返還されてるよ。 でも昔の美しき香港を描くために、マギー・チャンは日々、夜な夜な、目をみはるほどのチャイナドレスに身を包んでいます。いったい何着作ったんだ! たまったま見たばかりの、梶芽衣子「修羅雪姫」に匹敵する…

ガウリ・シンディー 監督「マダム・イン・ニューヨーク」1262本目

面白かった。じわっと満足感があって、幸せなきもちになれる映画でした。 主役の「古風な主婦」を演じたシィリデヴィが綺麗で可愛い。 彼女に一目惚れするフランス人シェフも素敵よ。 サリーを着たインド女性が、ニューヨークでサリーのまま暮らして、英語が…

チョン・ジュリ監督「私の少女」1263本目

これはまた、ズーンときますね。 韓国のひとたちは、心が深い。感情が深い。と感じてしまいます。 ペドゥナ演じる漁村の駐在所長も、孤独を持ちながら誰にもそれを見せずにいる。 天才的なキムセロンが演じるドヒは、”不幸な家庭に生まれて虐待を受け続けて…

キム・ギドク 監督「嘆きのピエタ」1078本目

韓国のバイオレンス映画って、迫力があって見応えがあります。 ただ、「面白い恋愛ドラマ」であっても同じなんだけど、数分間に一度は必ずある「えっ!」というドキドキする展開、残酷な運命、激しい愛と絶望、といったものを贅沢にちりばめた、韓国作品の特…

イ・ジュヒョン 監督「レッド・ファミリー」1063本目

ベースとなる問題は今に至るまで長期にわたって続いているので、切り口がいっぱいあります。 この映画は、ブラックコメディととらえればいいのかなと思いました。レッドファミリーは北のスパイ、一見家族のようだけどためらいなく人を殺す。その隣の家族はお…

ディアオ・イーナン 監督「薄氷の殺人」1000本目

独特の透き通った空気感。主役の女優(台湾の女優グイ・ルンメイ)も男優(中国の俳優リャオ・ファン)も、とっても魅力的です。 ミステリーとして“謎が謎を呼ぶ本格推理”とかをわざわざ期待しなくても、この映画の寒々とした世界を堪能することはできます。 …

ウェイ・ダーション監督「セデック・バレ 第一部 太陽旗」「セデック・バレ 第二部 虹の橋」962〜963本目

何も知らなかった…。本当にこんなことがあったんですね。 まだ語られていなかった人たちが勇敢に戦ったことは、語られるべきだと思う。 日本人として厳しい内容だというだけじゃなくて、セデックの戦士たちは勇壮すぎてかなりコワイです。 それでも、セデッ…